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眺め入る
「眺め入る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眺め入るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
った、高い柏《かしわ》の梢《こずえ》に上って、遥か目の下の谷間の景色にぼんやりと
眺め入る事があった。谷間にはいつも彼の部落が、天《あめ》の安河《やすかわ》の河原....
「恋を恋する人」より 著者:国木田独歩
出ずるような心持になる。あたかも野辺にさすらいて秋の月のさやかに照るをしみじみと
眺め入る心持と或は似通えるか。さりとて矢も楯もたまらずお正の許に飛んで行くような....
「富士」より 著者:岡本かの子
えばこちら、連続と隠顕と、ひととき眼を忙失させるけれども、なお眼を放たないなら、
眺め入るものに有限の意識を泡にして、何か永遠に通じさすところがある。ふつふつ、ふ....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
一画にそこの状態を空想している風であった。太く呼吸を入れ頬杖《ほおづえ》をついて
眺め入るのである。
「図示しましたその枝川がトウベツ川の本流と合する地点に年古り....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たお絹は、花札をめくるような手つきで、以前のと扇子開《せんすびら》きに持ち添えて
眺め入ると、 「色合から品格――第一、厚味が違いましょう」 「なるほど」 「時代....
「変な男」より 著者:豊島与志雄
ってきて、澄子が学校に行く前に髪を結ってると、少し離れた所に屈み込んで、あかずに
眺め入ることが多かった。「澄子さんの髪は綺麗だなあ、」と彼はよく独語の調子で呟い....
「女客一週間」より 著者:豊島与志雄
色彩に、最も敏感な立場にあるのは島村だった。彼はアトリエに籠って、自作の女人像に
眺め入ることが多かった。それはみな女体を対象としたものだ。女体には特殊な香りがあ....
「旅だち」より 著者:豊島与志雄
、膝を叩いていました。叩くのを止めると、姿見のなかでも叩くのを止めました。じっと
眺め入ると、彼女もこちらをじっと眺め入りました。びっくりして立ち上ると、彼女も立....
「高尾ざんげ」より 著者:豊島与志雄
いて杉茂登へ行きました。堀割の水に灯がちらほら映っているのを、我知らず足を止めて
眺め入ることもありました。すぐ向うは焼け跡で、五月の青草の匂いが風に乗ってきまし....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
にたんとありますまい。こう身をのりだして三時間でも五時間でもヨソ見一ツなさらずに
眺め入るんですから、恐れ入ります。こんな塀は造りたくないのですが、あの調子で眺め....
「博物誌」より 著者:岸田国士
の堂々たる体格には道を通る人々が眼を見張るくらいだ。人々は遠くからそっと感心して
眺め入る。そして、これまでのところはまだそんなことはなかったにしても、彼がその気....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
おろしていた。それから、上衣の内懐からそろそろと一葉の写真を取り出して、つくづく
眺め入る。 エレアーナ王女は、白い夏の装いで、大理石の広い階段の第一階に、寛濶....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
ように)まるで天女のような女だった。 文麻呂は、何かはっとしたように父親の横顔を
眺め入る。……山蝉の声。再び、衛門夫婦のうたう「瓜作りの唄」が続く。 ――幕――....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
燕洋その他の諸君が洋行して送ってくれる一枚の絵葉書をも、居士は深い興味の眼を以て
眺め入るのであった。そういう有様であったから漱石氏の倫敦に於ける下宿屋生活の模様....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
方で、 であります。その二は、心で考える方で、 であります。 まずその「じっと
眺め入ること」の方をお話ししましょう。 私はそれにつけ、昆虫についてのある話を....