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眼中
「眼中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眼中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
もない。
が、読本《とくほん》と出席簿とを抱えた毛利《もうり》先生は、あたかも
眼中に生徒のないような、悠然とした態度を示しながら、一段高い教壇に登って、自分た....
「路上」より 著者:芥川竜之介
講堂の屋根に降る雨の脚を眺め出した。俊助は外套の肩を聳やかせて、まるで女の存在を
眼中に置かない人のように、冷然とその前を通り過ぎた。三度《さんど》頭の上の雲を震....
「或る女」より 著者:有島武郎
も立ってもいられないもどかしさが苦しく胸に逼《せま》るのだった。今まではまるきり
眼中になかった田川夫人も、三等の女客の中で、処女とも妻ともつかぬ二人《ふたり》の....
「或る女」より 著者:有島武郎
に。
「へえ、それじゃ岡さん、あなたはまたたいしたリアリストね」
葉子は愛子を
眼中にもおかないふうでこういった。去年の下半期の思想界を震憾《しんかん》したよう....
「星座」より 著者:有島武郎
した、その矛《ほこ》を逆まにしてガンベは切りこんできた。星野が衆評などをまったく
眼中におかないで、いきなり物の中心を見徹していくその心の腕の冴《さ》えかたにたじ....
「親子」より 著者:有島武郎
思った。 もう夕食時はとうに過ぎ去っていたが、父は例の一徹からそんなことは全く
眼中になかった。彼はかくばかり迫り合った空気をなごやかにするためにも、しばらくの....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
と幕が動くように向うで言った。 松崎は、思わず紳士と目を見合った。小児なぞは
眼中にない、男は二人のみだったから。 美しい女は、かえって恐れげもなくこう言っ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
「だってそうじゃないか、いつか雑誌に写真が出ていたそうだが、そんなものはほとんど
眼中になかった。今朝の雪は不意打さ。俥で帰ると、追分で一生の道が南北へ分れるのを....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
いるむすめをなつかしそうに打ち見やる、大きなやさしい母らしい目もありまして、その
眼中にはすき通るような松やにの涙が宿って、夕日の光をうけて金剛石のようにきらきら....
「狂女」より 著者:秋田滋
る算段をするからな」 しかし彼女は身動きひとつしなかった。相手の姿などはてんで
眼中にないかのように、例によって例のごとく、じいッとしたままだった。 この落つ....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
四つを経とし食事を緯とせる詩的動作、即茶の湯である、一家の斉整家庭の調和など殆ど
眼中になく、さアと云えば待合曰く何館何ホテル曰く妾宅別荘、さもなければ徒に名利の....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
するに足るべし。 されば各国公使等の挙動を窺えば、国際の礼儀法式のごとき固より
眼中に置かず、動もすれば脅嚇手段を用い些細のことにも声を大にして兵力を訴えて目的....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
らというんだが、奴、つむじ曲がりで、うんといわないばかりか、てんで今の大家なんか
眼中になく、貧乏しながらも、黙ってこつこつと画ばかり描いていた。だから世間では、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、少々薄いのが難だけれど――すなおな髪を、文金で、打上った、妹弟子ごときものは、
眼中になかったのです。 お洲美さんが、大野木に縁づいたのは二十二の春――弥生ご....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
りゃしません。死ぬ苦みで修業をした、舞台の、その時々のシテなんざ、まるで御連中の
眼中にゃないんだから。――そうかって先方はお客だ、業も未熟だし、決してもんくは言....