眼中に置かない[語句情報] » 眼中に置かない

「眼中に置かない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

眼中に置かないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
講堂の屋根に降る雨の脚を眺め出した。俊助は外套の肩を聳やかせて、まるで女の存在を眼中に置かない人のように、冷然とその前を通り過ぎた。三度《さんど》頭の上の雲を震....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
埋《うず》めて、俯目勝《ふしめがち》にじっとしていた。敬太郎は自分の存在をわざと眼中に置かないようなこの眼遣《めづかい》の底に、かえって自分が気にかかっているら....
坑夫」より 著者:夏目漱石
た不変体《ふへんたい》のように思い込み過ぎて困るように思う。周囲の状況なんて事を眼中に置かないで、平押《ひらおし》に他人《ひと》を圧《お》しつけたがる事がだいぶ....
創作家の態度」より 著者:夏目漱石
度と題して、歴史の発展に論拠を置かず、また通俗の分類法なる叙事詩抒情詩等の区別を眼中に置かないで、単に心理現象から説明に取りかかろうと思うのはこれがためでありま....
鏡心灯語 抄」より 著者:与謝野晶子
いるかも知れぬ。また或女は無情と酷薄とを極めた旧道徳に対する反感から殊更に貞操を眼中に置かないという風な矯激の思想を持っているかも知れぬ。 外から一律に万人へ....
私娼の撲滅について」より 著者:与謝野晶子
因を出来るだけ刈除するために社会組織の改善がますます必要になる。社会組織の改善を眼中に置かない存娼説は在来の素朴な廃娼説と共に最早|迂濶の論議たるを免れないよう....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
ざいます。其故、私は真に徹した生活をして居る者の価値は、日常生活の風習の差異等を眼中に置かない共鳴を持つと信じて居ります。然し、私が此から観て行こうとするのは、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
自由にならなかったということ。 それで、少し自暴《やけ》の気味があって、お客を眼中に置かないような振舞が度々《たびたび》あったが、旦那というのは、それの御機嫌....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
として夢かうつつかの境にいるらしいが、それにしても、眼をつぶったきりで、こちらを眼中に置かないのが、やっぱりキザであり、癪《しゃく》であると村正さんも、きわどい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
めに、一頭の熊が与うる生活の資料のために、血眼《ちまなこ》になっているから、山を眼中に置かない。 こちらは歌人――とは断定できないが――と俳諧師とは、古人を論....
反抗」より 著者:豊島与志雄
た。相手の正当な申出を頭からけなしつけたのが、気むずかしいのだった。相手の考えを眼中に置かないで独り合点をしてるのが、無頓着なのだった。其処に、周平の眼に映じた....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。われわれを憎悪の的とするような者に、あるいは(さらに悪いことには)われわれを眼中に置かないような者に、一|生涯《しょうがい》われわれを結びつける、この結婚と....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
すから、これも腕によりをかけるという風、伎倆一杯に丹精を擬らし、報酬の多寡などは眼中に置かないという有様となる。そして、その寄進された観音には京都の仏師もある。....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
問題の解決は、技巧家と溺美家との遊戯に過ぎないことになり終えるだろう。このことを眼中に置かない音楽的分析は、音楽作品からその内容を空っぽにしてしまう。形式と内容....
それから」より 著者:夏目漱石
自己以外の遠い所に据えて、事実の発展によって証明せらるべき手近な真《まこと》を、眼中に置かない無理なものであった。にも拘わらず、父は習慣に囚《とら》えられて、未....