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「眼底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

眼底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
ある。(涙を知らないものの見る事ができる夢ではない。)そこでは、いっさいの悪が、眼底を払って、消えてしまう。が、人間の悲しみだけは、――空をみたしている月の光の....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
」の算木《さんぎ》の旗、――そういうものが、無意味な一列を作って、ただ雑然と彼の眼底を通りすぎた。 「どうして己《おれ》は、己の軽蔑している悪評に、こう煩わされ....
」より 著者:芥川竜之介
る。薔薇《ばら》と指環と夜鶯《ナイチンゲエル》と三越《みつこし》の旗とは、刹那に眼底を払って消えてしまった。その代り間代《まだい》、米代、電燈代、炭代、肴代《さ....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
ら、かつて見た沙磧図《させきず》や富春巻《ふうしゅんかん》が、髣髴《ほうふつ》と眼底に浮ぶような気がした。 「さあ、それが見たと言って好《い》いか、見ないと言っ....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
せんでした。私はとも角も其の蟇口を拾い上げて逸早く其場を立ちのくと共に、細田氏の眼底に、この毒々しい赤い三角形が刻み込まれたことを信ぜずには居られませんでした。....
間諜座事件」より 著者:海野十三
QX30の笹枝弦吾は、呆然として舞台の上に踊る彼女達を見入った。 そのとき彼の眼底に映った一人の踊り子があった。その踊り子は、他の九人と同じように調子を揃えて....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
。その答は、たった一つある。曰く、粘膜という剽軽者さ」 そういわれた瞬間、私の眼底には、どういうものか、あのムチムチとした蠱惑にみちたチェリーの肢体が、ありありと浮び上ったことだった。....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
いだろう! 折から、埠頭の方から、リリリリと号外売りの鈴の音が聞えてきた。私の眼底にはその号外の上に組まれた初号活字がアリアリと見えるようだ。――そのとき私は....
地球盗難」より 著者:海野十三
ていた懐中電灯を消した。俄かに闇がドッと学士の全身を包んだ。 ほの明るい残影が眼底から消えていって、彼はようやく闇に慣れた。そこで彼は、改めて暗黒そのもののよ....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
目を通していなかったが、デュポン・トーベルヴヰ※等、其製版摺刷の精妙巧緻は今猶お眼底に残って忘れられない。 其中には又クラインマンのアッシリア壁画の帖があった....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
村は聞いていた。その問題のBB火薬が、雷洋丸の上で発見されたのである。 帆村の眼底には、消せども消せども、なぜかBB火薬と並んでニーナ嬢の顔が浮かび上がってく....
怪塔王」より 著者:海野十三
います。思うようにまわらぬ首を無理やりにうごかして、あたりをながめていた兵曹長の眼底に、変なかたちをした木がうつりました。 「ああ、あれは椰子の木に見えるが、こ....
第四次元の男」より 著者:海野十三
んに月は雲間を出でて、月光は水のように流れ、くぬぎ林はほのぼのと幹を露呈してわが眼底に像を結んだ。わかりやすく言えば、月が出て、林が明るくなっただけのこと。 ....
」より 著者:海野十三
を見て北鳴はニヤリと笑った。二階の欄干をとおして、雨中に櫓を組む人夫の姿が、彼の眼底に灼きつくように映った。 「はッはッはッ。あれを見て、貴方がたはどんな風にお....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
丸のように飛出して来て敏捷の間にいくつもの早業をやる男の子の手足が生きて加奈子の眼底に残った。加奈子は五六歩過ぎてからまた振返って男の子をみた。男の子はマッチの....