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眼鏡越し
「眼鏡越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
眼鏡越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
見ると、こちらの御新造は御玄関先へ、ぼんやりとただ坐っていらっしゃる、――それを
眼鏡越しに睨《にら》みながら、あちらの御新造はまた上《あが》ろうともなさらず、悪....
「路上」より 著者:芥川竜之介
した野村は、その太い指の先でちょいと大島の襟を直しながら、細い鉄縁《てつぶち》の
眼鏡越しにのんびりと俊助の顔を見た。
「何にする? 珈琲か。紅茶か。」
「何でも....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
どこかの隠居らしい婆さんが一人、黒絽《くろろ》の被布《ひふ》の襟を抜いて、金縁の
眼鏡越しにじろりと新蔵の方を見返したのです。勿論それはあの神下しの婆なぞとは何の....
「星座」より 著者:有島武郎
田氏は血色の悪い人だった。一種の空想家らしくぎらぎらとかがやく大きな眼が、強度の
眼鏡越しに、すわり悪く活き活きと動いた。
「どうも失礼。おはじめでしたか。え、ど....
「並木」より 著者:島崎藤村
「まあ、私達は先生方が産んで下すった子供なんです」と青木は附加《つけた》した。
眼鏡越しに是方《こちら》を眺める青木の眼付の若々しさ、往時《むかし》を可懐《なつ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
てきました」 省作は笑いながらそういって、えん側へ上がる。母は手の物を置いて、
眼鏡越しに省作の顔を視つめながら、 「そらまあ……」 驚いた母はすぐにあとのこ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
、電燈の光が照らしたり――その明暗|幽照にまでも道のでこぼこが出来て――ちらつく
眼鏡越しの近眼の目さきや、あぶなッかしい足もとから、全く別な世界が開らけた。 ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
で今手こずっているんだよ」 「そうですか、未だ誰だか分らないのですか」 岸本は
眼鏡越しに愛くるしい眼を無邪気に光らせながら聞いた。 「何、犯人は分っているんだ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
横啣えの外套の衣兜に両手を突込みの不得要領な顔をしていた。白い髯で通る社長老人は
眼鏡越しに眼をパチ/\して、『私の家へは店から火事だと電話が掛った。処が中途でプ....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
せん。あたくし、あたくしは、捨子なんです」 「捨子だって、君がかい」 係官は、
眼鏡越しに、目を光らせた。原籍を知らぬ奴はあやしい。 「でも、おかしいじゃないか....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
費用をかけるのは勿体ない。第一、檻の高さがべら棒に高いじゃないか。」 老館長は
眼鏡越しに年若な博士の顔を見ていった。 「いえ、それだけの高さのものが是非とも必....
「小公女」より 著者:菊池寛
です。」 ミンチン先生はセエラが語り出したのを聞くと、飛び立つばかりに驚いて、
眼鏡越しに、何か忌々しそうに、セエラを見つめました。ジュフラアジ先生は微笑みはじ....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
泥のついた軍靴を発見した。主任教師である。私の下から見上げた視線と、彼の黒ぶちの
眼鏡越しに光る視線がぶちあたった。いきなり彼は私の本を足でけった。私はかっとして....
「地上」より 著者:島田清次郎
眼をとじて堪らなさそうに宮岡の熱した言葉を止めさせた。宮岡は情熱をさえぎられて、
眼鏡越しに尾沢をじろり睨みつけた。 「どうかしましたか」 「己には性に会わないよ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
くくっつけますよ。」 「替唄というものも沢山ありますかしら。」F君がまたこちらを
眼鏡越しに透かした。 「それは年代が経つうちに、その歌曲に合せた新作も出来るでし....