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睛
「睛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
睛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
つきが低い調子の伴音となって、じっと動かない中にも力ある震動をしながら、葉子の眼
睛《ひとみ》の奥を網膜まで見とおすほどぎゅっと見すえていた。「なんで事務長や田川....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ないのである。けれども、明治十八年建設当初に、河鍋暁斎や落合芳幾をしてこの館の点
睛に竜宮の乙姫を描かせたほどの綺びやかな眩惑は、その後星の移るとともに薄らいでし....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
ならぬ……というのが翁自身のモットーであり、数々の訓戒に含まれている不言不語の点
睛であったらしい。次のような逸話の数々が残っている。 ◇ ....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
三」と染め抜いた暖簾の間から、出入|絡繹する群集を見おろして、遥に高く雲の上に、
睛を点じたものが富士山であったことは、喜多川歌麿の「霜月|見世開之図」や、長谷川....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
立てて上洛したのは此時の事で、それがしの花押《かきはん》の鶺鴒《せきれい》の眼の
睛《たま》は一月に三たび処を易《か》えまする、此の書面の花押はそれがしの致したる....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
の愚痴、吾から吾を弁え難く、恍惚とする所へ著るゝお辰の姿、眉付媚かしく生々として
睛、何の情を含みてか吾与えし櫛にジッと見とれ居る美しさ、アヽ此処なりと幻像を写し....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
様な長さであった。 私は波を見つめて居る。ヤコフ・イリイッチの豹の様な大きな眼
睛は、私の眼から耳にかけたあたりを揉み込む様に見据えて居るのを私はまざまざと感じ....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
さんを私の同伴者に貰いたいと常に願っております!」きっぱりと言い放って老先生の眼
睛を正視した。 「もし乃公が与らぬと言ったらどうする?」 「致し方が御座いません....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
だ。傀儡だ傀儡だ! 人形のことだ! 『てんせい』というのは眼のことだろう。画龍点
睛という言葉がある。龍を画いて眼を点ずる! この点
睛に相違ない。『しとう』という....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
緒手巻を持って出て来たところが、其の娘子を侍が脇差で突ッ通すと、女が振髪打って眼
睛まわしてほっこりきエッたって云いやんすから、跡で聞いたら妹脊山の狂言だッて」 ....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
魂がかきむしられる思いのするその地獄のような風音こそ、あたり一帯のむざんな光景に
睛を点ずるものなのだが、その音のなかからは、聖書にあるヨブの妻の忠告が響いてくる....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
、折々雲裂け天破れて紫色の光まばゆく輝きわたる電魂の虚空に跳り閃く勢い、見る眼の
睛をも焼かんとす。ところは寂びたり、人里は遠し、雨の小止をまたんよすがもなければ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
」と云うことが一層大切です。
わたくしはその間に世界の一部をさまよって、
画竜の
睛の一点を見出しましょう。そうすれば、
大目的が達せられたと云うものです。こう云....
「日本料理の要点」より 著者:北大路魯山人
につけても、甚だ遺憾に堪えぬものがあるのである。料理の技法の点においても、その点
睛のための味付けの点においても、甚だ不徹底極まるものであって、これがかつて、それ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
山のような長い美しい裾の斜線を見せて、秀麗な円錐形に聳えているのがこの大画幅に点
睛の妙を極めて人を叫ばせずには置かない。最も近く大きな蛞蝓を匍わしたような鬼ヶ岳....