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「睡蓮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

睡蓮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
る水辺建築を企画するとしたら、おそらくアアサア・シマンズの歌ったように「水に浮ぶ睡蓮《すいれん》の花のような」美しい都市が造られることであろう。水と建築とはこの....
黄村先生言行録」より 著者:太宰治
もっとも、この老翁は、実にずるいじいさんで、池の水を必要以上に濁らせて、水面には睡蓮《すいれん》をいっぱいはびこらせて、その山椒魚の姿を誰にも見せないようにたく....
人間失格」より 著者:太宰治
。 ここへ来たのは初夏の頃で、鉄の格子の窓から病院の庭の小さい池に紅《あか》い睡蓮の花が咲いているのが見えましたが、それから三つき経ち、庭にコスモスが咲きはじ....
季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
の香りです。それだけ梅の木は人間と密接で、人の世の古い歴史をひそめているのです。睡蓮 睡蓮《すいれん》は本当に可憐《かれん》な花です。孤独の淋しさを悩む無口な....
首を失った蜻蛉」より 著者:佐左木俊郎
水面が鏡の面のように静かな古池があって、岸からは雑草が掩《おお》いかかり、中には睡蓮《すいれん》の花が夢の様に咲いている。そして四辺《あたり》の杉木立や、楢《な....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
た。もっとも、これは近くに高官の邸宅があるおかげかもしれない。 *睡蓮の花は昔から知っている。しかし、この花が朝開いて午後に睡るということは、今年....
」より 著者:寺田寅彦
、観測の稽古のお相手をして来た私には、特にそんな気がする。 あの木の下の水面に睡蓮がある。これはもちろん火事にはなんともなかったに相違ない。ことしの夏、どこか....
映画芸術」より 著者:寺田寅彦
で行なわれるときにはじめて力学的な意味をもつのである。たとえば水面に浮かんでいる睡蓮の花が一見ぱらぱらに散らばっているようでも水の底では一つの根につながっている....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ている。本箱には金文字の背を揃えた哲学書が行儀正しく並んでいる。ガラス瓶に插した睡蓮の花はその繊い、長い茎の上に首を傾けて上品に薫っている。その直後にデカルトの....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
紫玉は舷に縋って身を震わす。――真夜中の月の大池に、影の沈める樹の中に、しぼめる睡蓮のごとく漾いつつ。 「口惜しいねえ。」 車馬の通行を留めた場所とて、人目の....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
心地の母とよりそひ林檎むく みさ子 紫陽花きるや袂くわへて起しつつ 久女睡蓮や鬢に手あてて水鏡 同 白足袋や帯のかたさにこゞみはく みどり 病....
博物誌」より 著者:岸田国士
立ったフライ油のねっとりとした雫のように、草のなかから跳ね上がる。 彼女らは、睡蓮の広い葉の上に、青銅の文鎮のようにかしこまっている。 一匹のやつは、喉をい....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
だ。水面は、みるも厭らしいくらい黄色をした、鉱物質の滓が瘡蓋のように覆い、じつは睡蓮はおろか一草だにもなく、おそらくこの泥では櫂も利くまいと思われる。そしてここ....
金めだか」より 著者:小川未明
と大きいのも沢山いたが、冬を越す間にこれだけとなりました。 いま、芽ぐんでいる睡蓮が、やがて鉢いっぱいに葉をのばして、黄色な花を咲くころ、その間を泳ぎまわり、....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
つづきのかげにのこされた古池。――トラックの音のときに物うくひびくその水のうえに睡蓮の花の白く咲いたのもいじらしい…… ――――――――――――――― ....