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瞠
「瞠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瞠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしの」より 著者:芥川竜之介
向けたと思うと、毒風《どくふう》を避ける人のようにさっさと堂外へ去ってしまった。
瞠目《どうもく》した神父を残したまま。………
(大正十二年三月)....
「星座」より 著者:有島武郎
才《ひさい》、双肩《そうけん》を圧し来って、ややもすれば我れをして後《しり》えに
瞠若《どうじゃく》たらしめんとすといえども、我れあえて心裡の牙兵を叱咤《しった》....
「春昼」より 著者:泉鏡花
方で、」 呀? 茶釜でなく、這般文福和尚、渋茶にあらぬ振舞の三十棒、思わず後に
瞠若として、……唯苦笑するある而已…… 「これは、飛んだ処へ引合いに出しました、....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
「まずそういっていいでしょう。しかし本艇がこんどの冒険旅行でもって、国民の目を
瞠らせるようなお土産を持って帰ることができれば、話はまた自ら変ってきます」 「お....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
をとって……。 輝かしい福士大尉の復帰! 「アンは、どうした」 大尉は、目を
瞠って、アンを探した。赤外線標識灯は、台ばかりになっていた。アンは、その下に倒れ....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
…と宙で、黄金の巻柱の光をうけて、ぱっと金色に飜るのを見た時は、思わず驚歎の瞳を
瞠った。 床も、承塵も、柱は固より、彳めるものの踏む処は、黒漆の落ちた黄金であ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
洋の真只中の工事である。 (これが、人間のやった仕事だろうか?) と、ただ眼を
瞠るばかりである。 士官候補生たちもよく見た。祖国を出るまえ靖国神社参拝のとき....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
七十八の祖母が、茶盆に何か載せて出た。 これにお京のお諸礼式は、長屋に過ぎて、
瞠目に価値した。 「あの、お祖母様……お祖母様。」 二声目に、やっと聞えて、 ....
「橋」より 著者:池谷信三郎
が彼の肩を掴んだ。ピントの外れた彼の瞳の中に、真蒼なシイカの顔が浮んでいた。広く
瞠いた瞳の中から、彼女の感情が皆んな消えて行ってしまったように、無表情な彼女の顔....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
せたというのは思いがけない極であった。 「ええ、すっかり紛失?」と判事も屹と目を
瞠ったが、この人々はその意気において、五という数が、百となって、円とあるのに慌て....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
Q自身も身の上話などしたことはない。ときたま人と喧嘩をした時、何かのはずみに目を
瞠って 「乃公達だって以前は――てめえよりゃよッぽど豪勢なもんだぞ。人をなんだと....
「明日」より 著者:井上紅梅
分は綿糸を紡いでいると、寶兒は側に坐って茴香豆を食べている。黒目勝ちの小さな眼を
瞠ってしばらく想い廻らしていたが、「媽、父はワンタンを売ったから、わたしも大きく....
「風波」より 著者:井上紅梅
さんは腹立ちのあまり子供を抱えて顫えていると、顔じゅう脂汗の趙七爺がたちまち眼を
瞠って突進して来たのでこわくなって、言いたいことも言わずにすたすた歩き出した。 ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
い、鼻筋の通ったのが、何も思わないような、しかも限りなき思を籠めた鈴のような目を
瞠って、瓜核形の顔ばかり出して寝ているのを視めて、大口を開いて、 「あはは、あん....
「西航日録」より 著者:井上円了
断行し得ざる空前の冒険旅行者を、哲学館出身者中より出だし、欧米人をして、その後に
瞠若たらしめたるは、余が一層愉快とするところなり。すなわち、拙作をもってこれを祝....