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瞥
「瞥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瞥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、続々として、つどって来る。――
次郎は、絶望の目をあげて、天上の小さな月を一
瞥《いちべつ》しながら、太刀を両手にかまえたまま、兄の事や沙金《しゃきん》の事を....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
折よく先刻書いて置いた端書の投函《とうかん》を頼もうと思って、何気なくその方を一
瞥した。するとその襖側《ふすまぎわ》のうす暗がりには、私の全く見知らない四十恰好....
「春」より 著者:芥川竜之介
ん》もなしに多少の享楽をも感じていた。もっとも守衛《しゅえい》や観覧人に時々|一
瞥《いちべつ》を与えられるのは勿論彼女にも不快だった。しかし彼等も年齢の上から、....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
。」
河内山は、ちょいと煙管の目方をひいて見て、それから、襖ごしに斉広の方を一
瞥《いちべつ》しながら、また、肩をゆすってせせら笑った。
四
....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
僕の左に坐ったのは僕のおととい※江丸《げんこうまる》の上から僅《わず》かに一
瞥《いちべつ》した支那美人だった。彼女は水色の夏衣裳の胸に不相変《あいかわらず》....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
ると友人の批評家が、あすこの赤い柱の下に、電車を待っている人々の寒むそうな姿を一
瞥すると、急に身ぶるいを一つして、
「毛利《もうり》先生の事を思い出す。」と、独....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
と顔を合せる。お嬢さんはその時どうするであろう? 彼を不良少年と思っていれば、一
瞥《いちべつ》を与えないのは当然である。しかし不良少年と思っていなければ、明日も....
「路上」より 著者:芥川竜之介
唇《くちびる》へ当てながら、人の悪い微笑を浮べて、調戯《からか》うように野村を一
瞥した。
「まあピエルで満足しとくさ。その代りピエルなら、追っては目出度くナタシ....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
を紹介して、聊《いささか》巴※※の前に姿を現した、日本の Diabolus を一
瞥《いちべつ》しようと思う。なお巴※※《はびあん》に関して、詳細を知りたい人は、....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
こんにち》までも生きています。」
老紳士はこう云って、むしろ昂然と本間さんを一
瞥《いちべつ》した。本間さんがこれにも、「ははあ」と云う気のない返事で応じた事は....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
るではございませんか。ベッカアは驚きながら、その人物の肩ごしに、読んでいる本を一
瞥《いちべつ》致しました。本はバイブルで、その人物の右手の指は「爾《なんじ》の墓....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
煙草に火をつけながら、始めて懶い睚をあげて、前の席に腰を下していた小娘の顔を一|
瞥した。 それは油気のない髪をひっつめの銀杏返しに結って、横なでの痕のある皸だ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
いつも燐寸を探す場所、燐寸の燐がもえる瞬間にちらッと部屋のなかに放たれる最初の一
瞥、――そうしたことが、窓から一と思いに飛び降りて、自分には脱れることの出来ない....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
らず。この応答に襟懐俗了せしを憾みたり。巡査はまた一かえりして予が未だ涼み居るを
瞥視して過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば十二時なり。これよ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
親類の間にはこんな言葉がありました、――「サンテーズ家の人のように恋をする。」一
瞥見るだけで、分ってしまうのです。彼らはみんな髪の毛がうずを捲いていて、額にひく....