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「瞰下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瞰下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「弓町より」より 著者:石川啄木
と、自分の脱けだしてきた家に火事が起って、みるみる燃え上がるのを、暗い山の上から瞰下《みおろ》すような心持があった。今思ってもその心持が忘られない。 詩が内容....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ントンと山腹へ響いたと申すのでありますから、ちょっと裏山へ廻りさえすれば、足許に瞰下ろされますような勘定であったので。客人は、高い処から見物をなさる気でござった....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
はい。 舌長姥 お早々と。 夫人 （頷きつつ、連れて廻廊にかかる。目の下｜遥に瞰下す）ああ、鷹狩が帰って来た。 亀姫 （ともに、瞰下す）先刻私が参る時は、蟻の....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ろりと出した。怪しい小男は、段を昇切った古杉の幹から、青い嘴ばかりを出して、麓を瞰下しながら、あけびを裂いたような口を開けて、またニタリと笑った。 その杉を、....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
黒塗の飯櫃を、客の膝の前へストンと置くと、一歩すさったままで、突立って、熟と顔を瞰下すから、この時も吃驚した目を遣ると、両手を引込めた布子の袖を、上下に、ひょこ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
を被っているらしい。顔ぞと見る目鼻はないが、その笠は鴨居の上になって、空から畳を瞰下ろすような、惟うに漏る雨の余り侘しさに、笠欲ししと念じた、壁の心が露れたもの....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
だ。こうひしひしと寄着かれちゃ、弱いものには我慢が出来ない。淵に臨んで、崕の上に瞰下ろして踏留まる胆玉のないものは、いっその思い、真逆に飛込みます。破れかぶれよ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
えぬ。 「はい、貴下の妻でございます。」 その時尉官は傲然として俯向けるお通を瞰下しつつ、 「吾のいうことには、汝、きっと従うであろうな。」 此方は頭を低れ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
は峰の松の後になりぬ。 坂道にのぼりかけつ。頂にいたりて超然として一眸のもとに瞰下さば、わが心高きに居て、ものよく決むるを得べしと思いて、峰にのぼらむとしたる....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、岩も、ただなだらかな面平に、空に躍った刎釣瓶も、靄を放れぬ黒い線。些と凹凸なく瞰下さるる、かかる一枚の絵の中に、裳の端さえ、片袖さえ、美しき夫人の姿を、何処に....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
竹の太杖を突いて、破目の目立つ、蒼黒い道服を着に及んで、丈高う跳ばって、天上から瞰下しながら、ひしゃげた腹から野良声を振絞って、道教うる仙人のように見えた。 ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
と、垂々と湧く血雫を逆手に除り、山の端に腰を掛けたが、はじめて吻と一息つく。――瞰下す麓の路へ集って、頭ばかり、うようよして八九人、得物を持って押寄せた。 猶....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
かに頭を擡ぐれば、今見し処に偉大なる男の面赤きが、仁王立ちに立はだかりて、此方を瞰下ろし、はたと睨む。何某はそのまま気を失えりというものこれなり。 毛だらけの....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
だ隔らないうちに、目の下の城下に火が起った――こういうと記録じみる――一眸の下に瞰下ろさるる、縦横に樹林で劃られた市街の一箇処が、あたかも魔の手のあって、森の一....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
粂吉は立ち上ってつかつかと岩鼻へ出かけて行く。其処の岩鼻は直下数百｜尋の渓谷を瞰下する断崖の頂きで岩は一面に微細な青苔に蔽われている。彼は青苔に草鞋をしっかと....