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瞳
「瞳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瞳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
がら、項《うなじ》をそらせて、兄を見た。そうして刹那《せつな》に二人とも、相手の
瞳《ひとみ》の奥にひそんでいる、恐ろしいものを感じ合った。が、それは、文字どおり....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
の顔を見上げながら、静かに干し草へ鼻を出した。彼はその顔を眺めた時、ふとこの牛の
瞳《ひとみ》の中に何にか人間に近いものを感じた。空想?――或は空想かも知れない。....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
と、その中で、鼻の高い顔だけが、思いがけなく、一種の感動を、眼の中に現した。黒い
瞳が、熱を持ったように、かがやいて来たのである。
「そうかね。項羽はそんな事を云....
「春」より 著者:芥川竜之介
えたり、一二度は鎌《かま》さえかけて見たりした。しかし辰子は電燈の光に落ち着いた
瞳《ひとみ》を澄《す》ませたまま、少しも臆《おく》した色を見せないのだった。
「....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いて居ります。沙門はしばらくその呼吸を窺っているようでございましたが、やがてその
瞳を私どもの方へ返しますと、
「見られい。わしの云うた事に、偽《いつわ》りはなか....
「影」より 著者:芥川竜之介
へ挙げた。すると子供らしい房子の顔には、なぜか今までにない恐怖の色が、ありありと
瞳《ひとみ》に漲《みなぎ》っていた。
「どう遊ばしました? 奥様。」
「いいえ、....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
が、嘘のようになくなってしまった。僅に変らないものと云っては、あの張りのある、黒
瞳勝《くろめがち》な、水々しい目ばかりであろうか。――この変化は己の欲望にとって....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
えていた。お嬢さんは何も眉毛ばかり美しかった訣《わけ》ではない。目もまた涼しい黒
瞳勝《くろめが》ちだった。心もち上を向いた鼻も、……しかしこんなことを考えるのは....
「路上」より 著者:芥川竜之介
薄暗い空を仰いでいた。額にほつれかかった髪の下には、潤《うるお》いのある大きな黒
瞳《くろめ》が、じっと遠い所を眺めているように見えた。それは白い――と云うよりも....
「白」より 著者:芥川竜之介
ました。同時に白はお嬢さんの目へ、じっと彼の目を移しました。お嬢さんの目には黒い
瞳にありありと犬小屋が映《うつ》っています。高い棕櫚《しゅろ》の木のかげになった....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
っているのは一体どうした始末なのだ?」
素戔嗚はあの美貌の若者へ、燃えるような
瞳《ひとみ》を移した。が、彼はやはり藁の中に、気を失ったのか、仮死《そらじに》か....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
。男は髭《ひげ》を伸ばした上、別人のように窶《やつ》れている。が、彼女を見ている
瞳《ひとみ》は確かに待ちに待った
瞳だった。
「あなた!」
常子はこう叫びながら....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
かしそれはあなた方が、あの女の顔を見ないからです。殊にその一瞬間の、燃えるような
瞳《ひとみ》を見ないからです。わたしは女と眼を合せた時、たとい神鳴《かみなり》に....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
出したじゃありませんか。それも睫毛《まつげ》のない、うす青い膜がかかったような、
瞳の色の濁っている、どこを見ているともつかない眼で、大きさはかれこれ三尺あまりも....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
のさめたたてがみや尾はもつれたうえに、いがなどがくっついて、くくれていた。片眼は
瞳がなくなり、化け物のようにぎょろぎょろ光り、もう一方はまさしく悪魔のような光を....