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矍
「矍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「突貫紀行」より 著者:幸田露伴
て耕海入道と号する紀州の人と知る。齢《よわい》は五十を超《こ》えたるなるべけれど
矍鑠《かくしゃく》としてほとんと伏波将軍《ふくはしょうぐん》の気概《きがい》あり....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を引張って来て見せる。
草あやめの外には、芍薬、紫と白と黄の渓※、薔薇、石竹、
矍麦、虞美人草、花芥子、紅白除虫菊、皆存分に咲いて、庭も園も色々に明るくなった。....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
そうして自分の青年時代に八十余歳でなくなるまでやはり同じようなおばあさんのままで
矍鑠《かくしゃく》としていたB家の伯母《おば》は、冬の夜長に孫たちの集まっている....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りに郁太郎を手拭で撫でさすっておりましたが、やがて、眼を上げて見ると、番台の下に
矍鑠《かくしゃく》たるお婆さんが一人、突立ってこちらを見ているのに気がついて、急....
「碑文」より 著者:豊島与志雄
が、当主の崔之庚が他から買い取って住んでいるのでした。 崔之庚は六十歳ばかりの
矍鑠たる老人で、一代で富をなしたのだといわれています。大地主で、農産物の売買など....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
た。私からも逢いたく思っていた。」と洪は笑顔で言った。 七十歳に近い洪は、まだ
矍鑠たるもので、肩には肉の厚みも見え、髪は短く刈り、顔色は浅黒く、太い眉と細めの....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
。 時に年八十六歳。頽然たる老人である可きであったが、名に負う海洋で鍛えた体は
矍鑠として尚逞しく、上下の歯など大方揃っていた。加之此時は彼の資産なども、末次平....
「雪の宿り」より 著者:神西清
が言う。とって六十八にもなる兼良のことを、今さら老けたとは妙な言艸だが、事実この
矍鑠たる老人は、近年めだって年をとった。それは五年ほど前に腹ちがいの兄、東福寺の....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
しまい、渡された竹の皮包みの弁当をぶらさげて、老人のあとについた。 老人の足は
矍鑠たるものだったが、それでも三人の足にくらべるとさすがにのろかった。しかし、滝....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
莞爾として老爺は、顔を綻ばせた。 「まだお達者でいたのですか」 「達者じゃ、
矍鑠としちょる。沼之上へ帰ったら皆の者によろしく伝えてくれ」 「もうお爺さんは、....
「役者の顔」より 著者:木村荘八
しょうか。――云う迄もなく梨園にはなお菊五郎、吉右衛門もいますし、幸四郎の長老も
矍鑠としています。いわゆる「平馬返り」ではないにしても、年八十を越えたこの老優が....
「向嶋」より 著者:永井荷風
幸田先生であろう。先生は震災の後まで向嶋の旧居を守っておられた。今日その人はなお
矍鑠《かくしゃく》としておられるが、その人の日夜見て娯《たのし》みとなした風景は....
「追放されて」より 著者:神西清
。セミョーンは六十ほどの老爺で、痩せて歯はもう一本もないが、肩幅が広くて一見まだ
矍鑠としている。彼は酔っていた。もう夙から寝たくてならないのだが、ポケットには酒....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
はなお更|赧《あか》らみ、痩《や》せた小づくりの身体《からだ》は年と共にますます
矍鑠《かくしゃく》としているように見える。やがて鶴子が番茶と菓子とを持って来たの....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
父さんで、肥前は有田の弁護士である。もう六十を越えて、それで前額は禿げているが、
矍鑠としたシャンとした老人である。郷里ではその子の禎介氏の記念図書館の館長をして....