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矢のよう
「矢のよう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢のようの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
になって、暴《あば》れ抜いた事が、自分にさえ悲しい思い出となって、葉子の頭の中を
矢のように早くひらめき通った。葉子の顔には人に譲ってはいない自信の色が現われ始め....
「或る女」より 著者:有島武郎
。ただそれだけの願いに固まってしまった。そうした心持ちになっていると、時間はただ
矢のように飛んで過ぎた。死のほうへ貞世を連れて行く時間はただ
矢のように飛んで過ぎ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
っていた。 白い帆をいっぱいに開いたその船は、依然として船首を下に向けたまま、
矢のように走って行く。降りしきる吹雪を隔てた事だから、乗り組みの人の数もはっきり....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
工品や金銀細工を満載した。小船は、始めに来たときと同じように、目に見えぬ橈の力で
矢のように大海に乗り出して遠く水平線の彼方に消え失せた。そこでハイムダルは神々の....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
。さあ、はやく」 ハイロはそういって、三根夫の手を痛いほど握ると、人波をわけて
矢のように走った。 走りながら三根夫は、この非常事態がどうして起こったのか、ど....
「火星探険」より 著者:海野十三
、怒濤のようにこっちへ向って押し寄せてくる。 箱自動車は、そのまん中をめがけて
矢のように走って行く。 「おい、もっとスピードをゆるめた方がいいよ。でないと、火....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
はいってきた。彼は皆につかまってしまった。そして宇宙線が食えるかどうかについて、
矢のような質問をうけたのであった。 「宇宙線というのは、X線や、ラジウムなどの出....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
に彷徨う三流作家であることを懐しく思い、また誇りにも感じた。そう思いつくと、俄に
矢のような帰心に襲われたのだった。 「僕は断る。僕はやっぱり東京へ帰るよ」 「な....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
逃げるだけ逃げてみよう。攻勢防禦だ」 と人数の少い方の通路を見きわめると、猛然
矢のように突入した。 敵のひるむところを、よしきたとばかり猛進して、相手を投げ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
らりと見ました、隧道を出て、衝と隧道を入る間の茶店に、うしろ向きの女だの、都では
矢のように行過ぎる馬車の中などに、それか、と思うのは幾たびも見かけたんですが……....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
けて、明石に透いた素膚を焼くか、と鬼百合が赫と紅い。 その時、峰はずれに、火の
矢のように、颯と太陽の光が射した。貴婦人が袖を翳して、若い女を庇いました。…… ....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いる絵が消えてなくなりました。 まる一日、はくちょうたちは、空のなかを、かぶら
矢のようにうなってとびつづけました。 でもなにしろ、いもうとひとりつれているの....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
中へ入る、ひとりでに扉が閉る。途端に電燈が点くかと思うと、すぐに消えた。薄暗を、
矢のように、上衣なしの短衣ずぼん、ちょうど休憩をしていたと見える宿直の医師がね、....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
は柱にかかっていた帽子が、きりきりとちゅうに舞って、二、三|回転したかと思うと、
矢のようにおかみさんの顔めがけてぶつかってきた。 「ああっ!」 おかみさんが帽....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ルあたりの黒人の愛人に売り飛ばして二、三千円の金にするのだ。 一方宿からは毎日
矢のような宿賃のさいそくだ。ついには領事館に突き出してやる、といわれて私も心を決....