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矢先
「矢先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
なっていた。
二十七
俊助《しゅんすけ》は不快になっていた
矢先だから、初子《はつこ》と新田《にった》とを後に残して、うす暗い廊下《ろうか》....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
合う度毎に、必ず一人ずつは屍骸《しがい》になった。彼はその屍骸から奪った武器や、
矢先にかけた鳥獣を時々部落へ持って帰った。
その内に彼の武勇の名は、益々多くの....
「或る女」より 著者:有島武郎
村にすべてを打ちあけて、関係を絶《た》とうかと思い悩むような事が時々あった。その
矢先なので、葉子は胸にことさら痛みを覚えた。それがますます葉子の神経をいらだたせ....
「星座」より 著者:有島武郎
空に聞き流されるのだから腹が立つばかりだった。誰かに聞いてもらいたいと思っている
矢先だったので、婆やは何事をおいても能弁《のうべん》になった。
「星野さんはお留....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
、深谷氏の恐れていたのは黒塚ではなく、全く別の、外部から来た男だと考え始めていた
矢先きだったので、東屋氏のこの言葉には少からず驚いた。 「そりゃあ僕だって」と東....
「三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
しょう」 もう伝さんは、そろそろ心中の得意を、誰かに聞かせてやりたく思っていた
矢先だったので、宇利氏の突然の質問に、わけもなく調子込んで、先日案内人から聞かさ....
「瘤」より 著者:犬田卯
間の村長の空席には、自然と自分がのし上るべきものと取らぬ狸の……をきめ込んでいた
矢先へ、のこのこと瘤の野郎に乗りこまれたのが癪で……位のところかも分らなかったの....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
れるであろうし、それから精神的な理由もあったが、とにかくそう考えて生活転換をした
矢先なのである。だが、文筆生活などをしていると、一文なしになることなんかもはや不....
「楠公夫人」より 著者:上村松園
大なる人格に敬服しているところでもあり、一は彩管報国の念やみ難いものを抱いていた
矢先だったので、即座に承諾したのであった。私は昭和十六年四月十七日の湊川神社の大....
「岩波文庫論」より 著者:岩波茂雄
代に親しんだカッセル版、レクラム版のような便宜なものをいつか出したいと志してきた
矢先、ちょうど円本の流行はこの念願を実現する動因となったのである。 ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
何時も江戸の方に抜いてかれてますので、内心縄張内を荒らされてる様な気が仕てます、
矢先へ二十一本というものを、続けざまに拝見させられましたから、焼餅が焼けて堪らな....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
寺さんもまた、現在の空虚な教に飽きたらないで、宗教の一大改革を心密かに考えていた
矢先だったので、私達はすっかり共鳴してしまった訳なんです。将来お互いに助け合おう....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
てから早くも一カ月余りになるが、未だに犯人の目星さえつかず、あせりにあせっている
矢先、またしても今の訴えだ。 「今度は誰です?」 赤星刑事は、眼を輝かしながら....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
です。しかも場所が宮城野夫人の邸の附近の往来だったので、それでなくても評判の悪い
矢先ですから、とんだかかりあいにでもなるといけない、困ったことが出来たと人知れず....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
う。 私は業態を一段と発展させるため、三成社を株式会社組織にしようと考えていた
矢先き、東京電気からもすすめられて、大阪三成社、帝国紙器を合わせ、大正九年に聯合....