矢庭に[語句情報] » 矢庭に

「矢庭に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

矢庭にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
折れる音、蓆壁の裂け飛ぶ音、――そう云う物音が凄じく、一度に致したと思いますと、矢庭に甥が、二足三足|後《うしろ》の方へ飛びすさって、「おのれ、逃がしてたまろう....
富士」より 著者:岡本かの子
といって駆去った男が、その翌日、何にも獣は持たずに水のほとりに来た。女を見ると、矢庭に弓矢を女に向けて張った。男はこの頃の興奮と思い悩みに、いたく痩せ衰え、逞し....
深夜の市長」より 著者:海野十三
は死にもの狂いで、狭い道路を右に折れ曲った。ここなら大丈夫と思って、暫くゆくと、矢庭に背後に跫音がして、 「こら、待たんかア!」 と飛び出して来た者があった。....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ことも何処へか忘れてしまい、 「畜生! 畜生!」と独り言を云いだしたかと思うと、矢庭に側の太い電柱にとびつき、危険に気がつかぬものか、 「わッしょい、わッしょい....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
に二人だけで呼ばれてって、二三日ママと訣れてたことがあったでしょう。帰って来て、矢庭にママにぶら下がって泣き出したね。何故だか人中でパパと暮すと、とても寂しくて....
什器破壊業事件」より 著者:海野十三
へ担いでいけ。こら、早くせんか」 旦那様が目に入れても痛くない筈のギンヤまで、矢庭に退場を命ぜられるとは、このとき旦那様の胸に往来するよほどの不安があったもの....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
別に愕きもなにもしない。甚だ張合いのない次第であった。 愕くどころか、博士は、矢庭に手をのばして、その大蜘蛛の胴中をつかんだものである。 すると、ガラガラと....
大使館の始末機関」より 著者:海野十三
するのは早い」 室内の金博士は、のっそりと、シャンデリアの下に立った。すると、矢庭にそのシャンデリアがどっと音をたてて、金博士の頭の上に落ちてきた。金博士の頭....
」より 著者:海野十三
まして、町内近郊をかくかく斯様でと。……」 「コーラ、何と云う。……」 松吉は矢庭に化助の後にとびかかって、その口を押えようとする。化助は、何を生意気なと後を....
キド効果」より 著者:海野十三
車が興安駅に著くか著かない裡に、早くも警備軍の一隊がドヤドヤと車内に乱入すると、矢庭に全員の自由を拘束してしまった。 興安嶺トンネル殺人事件! 丘助手は改め....
荘子」より 著者:岡本かの子
の外光を背にした麗姫の活人形が薄暗い土間につと躍り出た。 「あれ、麗姫が!……」矢庭に驚駭の声を立てたのは今しも其処に酒杯の盆を運んで来た田氏であった。....
」より 著者:岡本かの子
りと剣を鳴らして二人にわざとらしい挙手の礼をした。と、京子は狂奔する女鹿のように矢庭に墓地を目掛けて馳け込んだ。その時、京子の手が鞭のように弾んで、加奈子の片手....
」より 著者:犬田卯
てみろ。」 ぐいっと向き直ったが、おせきのぎらぎらする両眼に打つかると、浩平は矢庭にそっぽを向いた。 「一遍でも百遍でもいうとも。こんな肥料、いくらで、誰から....
仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
ある。 喜助はもう眼を開いて居られなかった。彼は腰掛けの台を後ろに蹴とばすと、矢庭に大榊の花筒にシッカリ抱きついた。彼はハァハァと息を切り、額から脂汗をタラタ....
酋長」より 著者:岡本かの子
頭を下げてから、島吉を見て、 「あ は は は は」 と笑った。すると、島吉は矢庭に鋭い眼をして女の子を睨み込んだ。その眼は孤独で専制的な酋長の眼のように淋しく光っていた。....