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矢張り
「矢張り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢張りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「卑怯者」より 著者:有島武郎
甲を知らず知らず眼の所に持って行ったが、そうしてもあまりの心の顛倒《てんとう》に
矢張り涙は出て来なかった。
彼は心まで堅くなってじっとして立っていた。がもう黙....
「親子」より 著者:有島武郎
その眇眼で父をにらむようにしながら、 「せっかくのおすすめではございますが、私は
矢張り御馳走にはならずに発って札幌に帰るといたします。なに、あなた一晩先に帰って....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
私には口はばったい云い分かも知れませんが聖書と云う外はありません。聖書が私を最も感動せしめたのは
矢張り私の青年時代であったと思います。人には性の要求と生の疑問とに、圧倒される荷....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
居るものと言うて良い、扨て是から猫は如何なる染色を好むかに就て述べるのであるが、
矢張り野蛮人にも及ばぬ猫のことなれば、其好む所の色は燃ゆるが如き赤色であるらしい....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
うなもので、外観だけは高等官吏に似寄って来たが、依然として月給は上らずに社会から
矢張り小使同様に見られていたのである。 坪内氏が相当に尊敬せられていたのは文学....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
頃は虫あつかいに、碌々食うものも食わせ無えで置いて、そんならって虫の様に立廻れば
矢張り人間だと仰しゃる。己れっちらの境涯では、四辻に突っ立って、警部が来ると手を....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
―生家は鎌倉にありました。父の名は大江廣信――代々鎌倉の幕府に仕へた家柄で、父も
矢張りそこにつとめて居りました。母の名は袈裟代、これは加納家から嫁いでまいりまし....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
との生活に、直接の関係を及ぼすからである。人間――われ等の観る所によれば、人間は
矢張り不滅の霊魂の所有者であるが――の地上生活は、言わば第一期の初等教育で、ここ....
「鴨猟」より 著者:芥川竜之介
いる。小杉君や神代君は何れも錚々たる狩猟家である。おまけに僕等の船の船頭の一人も
矢張り猟の名人だということである。しかしかゝる禽獣殺戮業の大家が三人も揃っている....
「あの世から便りをする話」より 著者:海野十三
一人の子供も殺して死んだ。 さてその死後、友達の遺書というのが、私ともう一人の
矢張り科学者の友達に遺されていました。その遺書で彼の死んだ事情が最もハッキリして....
「夜釣の怪」より 著者:池田輝方
います。 其処へこう陣取りまして、五六|間離れた処に、その女郎屋の主人が居る。
矢張り同じように釣棹を沢山やって、角行燈をつけてたそうです。 祖父が釣をしてい....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
を持たないで暮して来たのが原因であるかも知れないと思う。 然し兎に角あの土地は
矢張り私に忘られないものとなってしまっている。この間も長く北海道にいたという人に....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
。それは山彦ではない。我等と同じように茸訪問に遊ぶやからが悪戯にするか、もしくは
矢張り伴にはぐれたために呼び合う声であることが解る。そんなことで粂吉と離れ離れに....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
りもむしろ利害関係ないし地理的関係が主である。しかし文明の進展するところ、結局は
矢張り主義が中心となって世界が二分するであろうと想像する。 この見地から究極に....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
流の剣客だった。(叔父が安房上総へ武者修行に出かけ、二刀流の剣客と試合をした話も
矢張り僕を喜ばせたものである。)それから「御維新」前後には彰義隊に加わる志を持っ....