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「矢文〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

矢文の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩を返す話」より 著者:菊池寛
じゃ。城方は兵糧がない上に、山田|右衛門作《えもさく》と申す者が、有馬勢に内応の矢文《やぶみ》を射た」という噂が人々の心を引き立たせた。功名も今日|限《ぎ》りじ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うにもならない戦慄に捉えられてしまった。見よ、ファウスト博士から送られた三回目の矢文ではないか! それには、いつものゴソニック文字で、次の文章が認められてあった....
宵(一幕)」より 著者:宮本百合子
全く堪るまいからな、然し、自分の子供が死んだからって、何も、僕にこんな意味深長な矢文を投げて寄来さないだっていいじゃあないか? 底意が癪に触る。どうしろと云うの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
小使部屋と、お廊下との間へ、こんなものを射込んだものがございました」 「ははあ、矢文《やぶみ》だな」 駒井は、七兵衛の手渡す矢を受取って見ると、そこに結び封が....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
つ下り 玉葛の花ともいはず刈り干しぬ 秋の部 聴衆は稲妻あびて辻講義 朝露や矢文を拾ふ草の中 暁や鐘つき居れば初嵐 我声の吹き戻さるゝ野分かな 税苛し莨畑の....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ら、もう帰るの。つまんないったらないわ」 鼻声のお美夜ちゃんは、また涙顔です。矢文《やぶみ》 一 「起きろっ……」 刀のこじりが、とんと土に音立てて―....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
った。と、その時唸りをなして、一本の征矢が飛んで来たが、杉の老幹の一所へ立った。矢文と見えて紙が巻いてある。 「はてな?」と、立ち止まった宮川茅野雄は、手を延ば....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
水夫や従者、それを制した右近丸は、スルスルと近寄って眺めたが、 「ほほうこいつは矢文だわい」 左様、それは矢文であった。矢羽根から二三寸下ったところに、畳んだ....
興津弥五右衛門の遺書」より 著者:森鴎外
面会して御旨を伝え、景一はまた赤松家の物頭井門亀右衛門と謀り、田辺城の妙庵丸櫓へ矢文を射掛け候。翌朝景一は森を斥候の中に交ぜて陣所を出だし遣り候。森は首尾よく城....
魔像」より 著者:林不忘
いるので、早くいえば酒宴である。その酒宴の最中に、一夜、庭さきの暗がりから一本の矢文《やぶみ》が飛来して……矢文、矢のさきに手紙が挾《はさ》んである。開いてみる....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
《かんじんより》が結んである。濡れて破けそうなのを丹念に解いて、拡げた。案の定、矢文である。天誅と二字、達者な手だ。 「弓矢と言い、この文句といい、素町人じゃあ....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
んが、花魁はあなたのお胤を宿してゝも、あなたが此方へ御窮命になりましたから、日文矢文を送りたくっても、そうもなりません処から、花魁がくよ/\思い詰め、お塩梅が悪....
三国志」より 著者:吉川英治
砦の高櫓へのぼって行った陳登は、はるか曹操の陣地とおぼしき闇の火へ向って、一通の矢文を射込み、何喰わぬ顔をしてまた降りてきた。 そこを去って、蕭関の砦を後にす....
三国志」より 著者:吉川英治
ょう」 曹操は、限りなく喜悦して、さらばとばかり、直ちに、檄文を認めて、城中へ矢文を射させた。 その文には、 今、明詔ヲ奉ジテ呂布ヲ征ス、モシ大軍ヲ抗拒スル....
黒田如水」より 著者:吉川英治
「――実は、それがしと相識の小森与三左衛門は、後藤将監の次席におります者ゆえ、矢文をつかわして、会談を求め、彼の手引に依って、密かに、後藤とも面会いたし、その....