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矢玉
「矢玉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢玉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
声を上げて、横あいから、こう叫んだ。
「なぜ十郎を捨てておくのじゃ。おぬしたちは
矢玉が恐ろしゅうて、仲間を見殺しにする気かよ。」
太腿《ふともも》を縫われた十....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
舟宿|垂水《たるみ》――と大きく掛けあんどんにしるされた一軒の二階めざしながら、
矢玉のように駆け込みました。 いっしょにそのものものしい足音を聞きつけて、広々....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
うがく》はただの秒時――。 心底からの狂人ならば、白刃が鼻先へ襲ってこようと、
矢玉が雨とあられに降ってこようと、びくともするものではあるまいと思われたのに、名....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
つで、しきりと衣紋《えもん》をつくりながら、気どり気どり出ていったようでしたが、
矢玉のように駆け帰ってくると大車輪でした。 「辰ッ、何をまごまごしてるんだッ。貧....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
意しろッ」 待ってましたとばかり、伝六の早いこと、早いこと。――だが、まもなく
矢玉のように飛んで帰ると、けたたましくいいました。 「いけねえ! いけねえ! 出....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
に男をたてさせておくんなせえまし!」 手がかりの一刀を名人の手から奪い取って、
矢玉のようにおどりこむと、そこの細工場でこつこつと刻んでいた千柿老人に鍔元《つば....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
だから接戦してはかなわない、遠巻にして弓銃を放てと命じたので、盛重等は忽ちにして
矢玉の真ただ中にさらされて、その士卒と共に倒れた。元康の士|筧正則等が之に乗じて....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
れたかと見えた刹那! ――一瞬早く武者窓の外から、咄嗟の目つぶしの小石つぶてが、
矢玉のように飛来して門太の顔を襲いました。 「よッ。表に怪しき者がいるぞッ! 捕....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
った歌がある。水戸浪士に加わって来た同門の人が飯田や馬籠での述懐だ。 あられなす
矢玉の中は越えくれどすすみかねたる駒の山麓 ふみわくる深山紅葉を敷島のやまとにし....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
げ出されたり、撲り付けられたりするので、手の着けようがない。弓や鉄砲で撃っても、
矢玉はみな跳ねかえされて地に落ちてしまうのである。 しかも昔からの言い伝えで、....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
落ちた時の、木村長門守の思切ったようなのだと可いけれど、……勝戦のうしろの方で、
矢玉の雨宿をしていた、ぬくいのらしい。御覧なさい。 亀姫 (鉢金の輝く裏を返す)....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、後顧の憂いなからしむるためには、百姓を柔順にして置かなければならぬ。百姓は、
矢玉の間に命がけで立働くには及ばない代り、柔順に物を生産して、軍隊の兵站《へいた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、後顧の憂いなからしむるためには、百姓を柔順にして置かなければならぬ。百姓は、
矢玉の間に命がけで立働くには及ばない代り、柔順に物を生産して、軍隊の兵站《へいた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
嘩にしても、戦争にしても、鬨《とき》の声一つ聞えないではないか。太刀打ちの音も、
矢玉の叫びも、何一つ合戦らしい物の響はせず、もとより火の手も上っていない、狼藉者....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
窓を閉めようとあせるのである。大粒な雫は、また実際、斜とも謂わず、直ともいわず、
矢玉のように飛び込むので、かの兀頭の小男は先刻から人知れず愛吉の話に聞惚れて、ひ....