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矢筒
「矢筒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢筒の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狼の怪」より 著者:田中貢太郎
きな岩の下へ往って、手にしていた弓を立てかけ、二疋の兎を入れている袋といっしょに
矢筒も解いて凭せかけた。 右手に方って遠山が鋸の歯のように尖んがった処に、黄い....
「申陽洞記」より 著者:田中貢太郎
りに手をやってみた。体には別に異常もなかったが、持っていた弓も、背負っていた矢も
矢筒ぐるみなくなって、僅に矢尻に浸める毒を盛った小さな皮袋が残っているばかりであ....
「旅愁」より 著者:横光利一
ものは、峯から峯をわたって来る松風の音ばかりだった。それはもうむかしの響き轟いた
矢筒の音でもなければ、叫び斃れるものの声でもなく、肋骨の間を音もなく吹きぬけて行....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
みて兵士に向かう、懼《おそ》るる事に笑いて驚くところなく、剣に向かうとも退かず、
矢筒その上に鳴り鎗に矛《ほこ》相|閃爍《きらめ》く、猛《たけ》りつ狂いつ地を一呑....
「露肆」より 著者:泉鏡花
さいのは団栗ぐらいな処まで、ずらりと乗せたのを、その俯目に、ト狙いながら、件の吹
矢筒で、フッ。 カタリといって、発奮もなく引くりかえって、軽く転がる。その次の....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。
愛は彼女のうちに生く。
彼女の瞳《ひとみ》のうちにこそ、
愛は置きぬ、その
矢筒、
やたら者。
われは彼女を歌にせん。
ディアナよりもなおいとし、....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
を迎えるのであった。 「今帰ったぞ」と紋太郎は機嫌よく邸の玄関を上がった。手に吹
矢筒を持っている。部屋へ通るとその後から三右衛門が嬉しそうに従いて来た。 「首尾....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
衛門はひさかたぶりに、法水の来訪をうけた。 舞台裏には、唐人殺しに使う、提琴や
矢筒などが、ところ狭く散らばっていて、開場前の劇場は、空間がなんとなく物侘びしげ....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
わって鞘刻み鞘彫り それのみを 事として暮していた. 毎日,朝になると兄様たちは
矢筒を背負って姉様たちと一しょに出て行って 暮方になると疲れた顔色で 何も持たず....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
。それを一人が、箸を返して除去った。明るくなった燈に照らされ、床の間に置いてある
矢筒の矢羽根が、雪のように白く見えた。 「その時代には、ずば抜けた豪傑もいたもの....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
える。それから私は猟に行く、腰へ拳銃と弾丸帯をつけて手に土人用の弓を持って背中へ
矢筒を背負った姿で林の中へ行くのであった。私は猟をしながらも例の「眼に見えぬ恩人....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
出来のをよいとします。弓の道具類も仕事のよさを未だに失っておりません。紙縒細工の
矢筒、革細工の弓懸など見事な手並を見せます。幾許かの人が良い仕事を愛すると見えま....
「赤い土の壺」より 著者:田中貢太郎
せ」 「しからば、一|時休ましてもらおう」 道家は土間へ入って草鞋を脱ぎ、弓と
矢筒を持って脊をかがめるようにして、老婆の傍の莚の上に坐った。 「それでは、今、....