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「矢羽根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

矢羽根の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛妓」より 著者:岡本かの子
しましょうよ」 わたくしはこの間に、ほんの四つ五つの型だけで全身を覆うほどの大矢羽根が紅紫の鹿の子模様で埋り、余地の卵黄色も赤白の鹿の子模様で埋まっているのを....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
時代を追懐すると、鳶の衰滅に対して一種の悲哀を感ぜずにはいられない。 むかしは矢羽根に雉または山鳥の羽を用いたが、それらは多く得られないので、下等の矢には鳶の....
足迹」より 著者:徳田秋声
斗にしまっておいた糠袋などを取り出し、縁づいてからお袋が見立てて拵えてくれた細い矢羽根の置型の浴衣に着かえた。 部屋はたッた六畳敷きで、一間の押入れに置き床な....
三月の第四日曜」より 著者:宮本百合子
さ。金気《かなけ》がしみついてるから虫がつかないよ」 綾子が細かいめの紫と白の矢羽根の袷で、パラソルを膝の前へつきながら河原で跼んで流れを見ていた姿が、シャボ....
旅愁」より 著者:横光利一
一種特別な城として有名で彼も二度ばかり見た記憶があった。雨中に眺めたときの姿は、矢羽根を連ねたような黒褐色の壮大さで、自分の国の崩れた城跡とは凡そ反対な、一見翼....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ら、丸太棒を押立てて、ごろうじませい、あすこにとぐろを巻いていますだ。あのさきへ矢羽根をつけると、掘立普請の斎が出るだね。へい、墓場の入口だ、地獄の門番……はて....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
て、いちょうがえしへかけた。五月の節句には菖蒲《しょうぶ》の葉を前髪に結んだり、矢羽根《やばね》に切ったのを簪《かんざし》にさしたものだった。 新藁《しんわら....
変る」より 著者:豊島与志雄
錦紗のすらりとした姿で、重ね着の淡色の襟を二枚、白縮緬の半襟の上にのぞかせ、臙脂矢羽根の帯締に小さな銀鍵をさげている。それが、着附のうまさにすらりと見えるが、贅....
渡舟場」より 著者:豊島与志雄
と舟はすぐに出ました。 元彦は外套をぬぎました。そして、赤いコートの下に臙脂の矢羽根の着物の襟をかき合せている加代子の、ほっそりした肩に、それを着せかけてやり....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
と近寄って眺めたが、 「ほほうこいつは矢文だわい」 左様、それは矢文であった。矢羽根から二三寸下ったところに、畳んだ紙が巻き付けてある。 矢を引き抜いた右近....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
を一人が、箸を返して除去った。明るくなった燈に照らされ、床の間に置いてある矢筒の矢羽根が、雪のように白く見えた。 「その時代には、ずば抜けた豪傑もいたものよ」と....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
が、 「あります、あります。……なるほど、妙なところがある。……大黒様の左肩に、矢羽根のようなものが微かに見えるが、矢をせおった大黒様とは珍らしい」 「ひょろ松....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
、微動さえしない。 ヒュン、と澄んだ弓弦《ゆづる》の音がし、弓から離れた矢は、矢羽根をキラキラ光らせながら、糸を引いたように真っ直ぐに※《あずち》のほうへ飛ん....