矢頃[語句情報] »
矢頃
「矢頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
れた古藤は黙ってしまった。しかし葉子も勢いに乗って追い迫るような事はしなかった。
矢頃《やごろ》を計ってから語気をかえてずっと下手《したで》になって、
「妙にお思....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
騎り数千騎を率いて走り来るところを信昌公にはただ一騎樹蔭にかくれて待ちかけ給い、
矢頃を計って切って放てばその矢誤たず胸にあたり、ついに叛将は殪したものの矢疵あり....
「鴫突き」より 著者:寺田寅彦
きっかけもないのであろう。ともかくも運命の環は急加速度で縮まって行って、いよいよ
矢頃はよしという瞬間に、要太の突き出した叉手網はほとんど水平に空を切って飛んで行....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
の通ぜぬためか、何程手を合わして頼み入っても肯入れず、又も飛び来る矢勢鋭く、殊に
矢頃近くなりましたから、憫れむべし、文治は胸のあたりを射通されて其の儘打倒れまし....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
」と返辞えて進み出たのは近習頭白須賀源兵衛であった。 「おおそちなら大丈夫じゃ。
矢頃を計り射落とすがよいぞ」 「かしこまりましてござります」 近習の捧げる重籐....
「熊狩名人」より 著者:佐藤垢石
大きく開き、二本の前脚をあげてひとひねりにひねりかかろうと猛然と突っ込んでくる。
矢頃を見はからって、撃った。なにしろ、三、四尺の距離しかないのですから、外れっこ....
「本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
飛び出したのを頼朝が見つけ、六郎行秀を召して射て取れと命じた。武門の誉れと行秀は
矢頃を計って鹿を射たが、天か時か、それとも行秀の業が拙なかったのか遂に射損じ、そ....
「三国志」より 著者:吉川英治
きたので、張※や徐晃も、ふたたび勇を鼓して、濠ぎわへと馳け向ってきた。――今や、
矢頃と見たか、趙雲が下へ向って何か呶鳴ると、とたんに濠の蔭から無数の矢が大地とす....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
ことなり。 四三め、自分は峯の方を行きしに、とある岩の陰より大なる熊此方を見る。
矢頃あまりに近かりしかば、銃をすてて熊に抱えつき雪の上を転びて、谷へ下る。連の男....