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知らす
「知らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
知らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
孝行のお里が取り乱して泣いている、いじらしい姿もすぐに彼の眼にうかんだ。 「虫が
知らすとでも言うんですかしら。里ちゃんはこの二、三日なんだかぼんやりしていて、唯....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
、前野氏の麹町の住居までは、よほどの道程でござる。もう、初更も過ぎているほどに、
知らすべき便《たより》はござらぬ。前野氏には、この次の機《おり》もござろう」 ....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
なにをしたか、もう君は知っている筈だ。僕は、隣室で眼を醒した春夫に、僕のした事を
知らすまいとして春夫を騙して表へ連れて逃げだした。ああしかし、僕はもう逃げ場を失....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
年齢になるまで――といって彼女はお婆さんだという意味ではない、これはそっと読者に
知らすわけだが、風間光枝の本当の年齢は、当年とってやっとまだ二十歳なのである。―....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
なる災禍であった。 地上では、こんどは照空灯が、十文字にうごいて、「要注意」を
知らす。 「要注意」も、今さら遅いという外ない。 そのとき彼は、ゴンドラの中に....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
要塞が、夜を日についで建造をいそいでいるのだ。自分が死んだらその秘密は誰が祖国に
知らすのだ。 一秒、二秒、三秒…… 息づまるような無気味な瞬間だった。 ぶ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
の重量が響きますかい。 鯰入 (悄然として)いや、私が身に応えた処は、こりゃ虫が
知らすと見えました。御褒美に遣わさるる石臼なれば可けれども==この坊主を輪切りに....
「愛よ愛」より 著者:岡本かの子
無口の一日が過される。けれども心のつながりの無い一日では無い。この人が眼で見よと
知らする庭の初雪。この人が耳かたむける軒の雀にこのわたしも――。 むかし、いく....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
まうその居間とは、樹々の梢ありて遮れど、それと心着きてや必ず庭に来たまうは、虫の
知らするなるべし。一時は先立ちて園生をそぞろあるきしたまうことあり。さる折には、....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
子は去った夫人と残っているご良人とのことを等分に考えていた。 そのとき、食事を
知らすらしい支那風の銅鑼が鳴りひびいた。 「じゃ、路子、南條さんを食堂へ案内して....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
い、阿香の死骸を上のかたの寝室へ運び込む。浦辺は苦力に向って、もう帰ってもよいと
知らすれば、二人は担架を舁きて去る。村上は花環をささげ、時子と君子も花をささげる....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
の子分が付いていたので、六三郎はあわてて百日紅のかげに隠れてしまいましたが、虫が
知らすとでもいうのでしょうか、門を出てふた足ばかり歩くと、お初はこっちをちょっと....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
すからその警護僧を見ますと互いに警戒して、「おい来たぞ」と袖を引き合い、眼と眼で
知らすという訳。それでもどうかすると知らずに居る時にふいと出て来られて、ひどい権....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
ではなかろうか、とすら考えられて、必死になって咳を堪え、ぼくが眼覚めていることを
知らすまいと努力した。だが、ぼくの様に肺を患っている男にとっては咳をこらえること....