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知らず
「知らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
知らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
戟したのは、彼の左の手の指が一本欠けている事だった。私はふとそれに気がつくと、我
知らず眼をその手から外《そ》らさないではいられなかった。
「何か御用ですか。」
....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
烈な道徳的情熱を知らない。猛烈な、――およそこの地球を荘厳にすべき、猛烈な何物も
知らずにいるんだ。そこに彼等の致命傷《ちめいしょう》もあれば、彼等の害毒も潜《ひ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ょう》から帰った時、万一三浦はもう物故《ぶっこ》していたのではないかと思って、我
知らず不安の眼を相手の顔に注《そそ》がずにはいられなかった。すると子爵は早くもそ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
的低いのにもかかわらず、(平均|華氏《かっし》五十度前後です。)着物というものを
知らずにいるのです。もちろんどの河童も目金《めがね》をかけたり、巻煙草《まきたば....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
あの家《うち》の娘を見たことはない。いや、娘がいるかどうか、それさえはっきりとは
知らずにいる。が、たといその娘が、実際はこの世にいないのにしても、僕が彼女を思う....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
彼女にもよくわかっていた。が、男とも別れた今、その白犬を後《あと》に残して、見ず
知らずの他国へ行くのは、どう考えて見ても寂しかった。だからいよいよ立つと云う前夜....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
ている。寂しい墓原《はかはら》の松のかげに、末は「いんへるの」に堕《お》ちるのも
知らず、はかない極楽を夢見ている。
しかしおぎんは幸いにも、両親の無知に染まっ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
てゆく。班女《はんじょ》といい、業平《なりひら》という、武蔵野《むさしの》の昔は
知らず、遠くは多くの江戸|浄瑠璃《じょうるり》作者、近くは河竹|黙阿弥《もくあみ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
し、お前にゃ愚痴《ぐち》ばかりこぼされるし、――」
洋一は父の言葉を聞くと、我
知らず襖《ふすま》一つ向うの、病室の動静に耳を澄ませた。そこではお律《りつ》がい....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
、咄嗟に印度人の婆さんは、その戸口に立ち塞がりました。 「ここは私の家だよ。見ず
知らずのお前さんなんぞに、奥へはいられてたまるものか」 「退け。退かないと射殺す....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
どを並べたことのない人間だった。勿論蛇笏の名も知らなかった。が、そう云う偉い人を
知らずにいるのは不本意だったから、その飯田蛇笏なるものの作句を二つ三つ尋ねて見た....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
一、語学の英露独など出来る事。但どの位よく出来るか
知らず。 二、几帳面なる事。手紙を出せば必ず返事をくれるが如き。 三、家庭を....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
一部始終を読み返した。私は歔欷いている自分の哀れな心の中に痛い傷痕をかんじて、我
知らず手足を折られでもした者のように呻き声を放った。 私はそこで河をひとが溯る....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
れし科学上の大発見を学びおれば、余は禁囚の身の悲しみをも忘れ、また光陰の過ぐるも
知らず候」という書き出しで「水の下、地の下で、火薬に点火し得るごとき火花を生ずる....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
おちいる傾向は、この谷間に生れつき住んでいる人だけでなく、しばらくそこに住む人も
知らず知らずのうちにみな取りつかれるのである。ひとびとが、この眠たげな地域に入る....