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「知らぬ世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

知らぬ世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
生《たしょう》の縁の袖《そで》と袂《たもと》を、今宵限り擦《す》り合せて、あとは知らぬ世の、黒い波のざわつく中に、西東首を埋《うず》めて、あかの他人と化けてしま....
幻影の盾」より 著者:夏目漱石
と思われる。その岩の上に一人の女が、眩《まば》ゆしと見ゆるまでに紅なる衣を着て、知らぬ世の楽器を弾《ひ》くともなしに弾いている。碧《みど》り積む水が肌に沁《し》....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
馬鹿者にしようとする。貴様はこの国第一の不忠者だぞ。貴様、よく考えて見ろ。何にも知らぬ世界一の馬鹿が王様になっているがいいか。それとも何でも知らぬという事は一ツ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
、さっそく何か世話しようと気を揉んでいる人の友情に、何の感じも起こらなかったが見知らぬ世間の女性を心ひそかに物色してもいた。女性の前に今まで膝も崩さなかった儀容....
白くれない」より 著者:夢野久作
奈美女、わが手を取りて其の中を二三間ほど歩み降り行くに、土中の冷気身に泌みて知らぬ世界へ来し心地しつ。やがて彼女の手より閃めき出でし蘭法|附木の火、四方に並....
死者の書」より 著者:折口信夫
事に行き逢おうとは、考えもつかなかった時代が来たのだ、と思うた瞬間、何もかも、見知らぬ世界に追放われている気がして、唯驚くばかりであった。娯しみを失いきった語部....
源氏物語」より 著者:紫式部
はかなくさせるのであった。明石が、 「いきてまた逢ひ見んことをいつとてか限りも知らぬ世をば頼まん 送ってだけでもくださいませんか」 と父に頼んだが、それ....
源氏物語」より 著者:紫式部
人が毎日ながめていた小舟へ宮は姫君をお乗せになり、船が岸を離れた時にははるかにも知らぬ世界へ伴って行かれる気のした姫君は、心細さに堅くお胸へすがっているのも可憐....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ポにつれて、いつの時代も必ず人々の一生は短縮され、そのテムポにふさわしい、過去を知らぬ世代の大量的代謝が行われます、これも意味ふかいことです。こういう代謝によっ....
雪の宿り」より 著者:神西清
せない。俺にはとてもついて行けない。…… 「そこで山外の仏法はどうか。これは俺の知らぬ世界だから余り当てにはならぬが、どうやら人物がいるらしい。『祖師の言句をな....
黄昏の告白」より 著者:浜尾四郎
てみた。もしなんらかの方法で米倉をやっつけるとすれば、世間はどう思うだろう。何も知らぬ世間は彼の盛名に対する僕の嫉妬だとしか考えぬであろう。そう思われることは堪....
雪の武石峠」より 著者:別所梅之助
かに残る所もあった。夏ならば何なるまじき境、しかも冬の信濃の山は、一歩ごとに私の知らぬ世界であった。私たちはただもう進む。案内者は、いつか先へいってしまった。足....
山の人生」より 著者:柳田国男
我々の先祖たちは、むしろ怜悧にしてかつ空想の豊かなる児童が時々変になって、凡人の知らぬ世界を見てきてくれることを望んだのである。すなわちたくさんの神隠しの不可思....
『西遊記』の夢」より 著者:中谷宇吉郎
塩野原に横《よこた》わるのを後にすると、最早《もはや》死の世界ではない。全然生を知らぬ世界」となって来た。 この「生を知らぬ世界」の中に、スタインは意外な古代....
大岡越前」より 著者:吉川英治
「ホホホホ。人をばかにおしでない。だれがお前なぞの調べをうけるものですかえ。何も知らぬ世間の衆は、お奉行さまと恐れ入るかしらないけれど、お袖は、そんな手には乗り....