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知らぬ顔
「知らぬ顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
知らぬ顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
洋服屋の存在を教えるように慇懃《いんぎん》に神を教えるのである。あるいはそれでも
知らぬ顔をすると、今度は外国語の授業料の代りに信仰を売ることを勧《すす》めるので....
「或る女」より 著者:有島武郎
ては寂しい、ただ寂しい涙がほろほろととめどなく流れ出るのだった。
一家の離散を
知らぬ顔で、女の身そらをただひとり米国の果てまでさすらって行くのを葉子は格別なん....
「或る女」より 著者:有島武郎
来上がった男だろう」というように苦笑《にがわら》いをしながら古藤を見やって、また
知らぬ顔に庭のほうを向いてしまった。
「そりゃそうだ。ばかにされる僕はばかだろう....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
じろりと額《ひたい》で見上げたのを、織次は屹《きっ》と唯一目《ただひとめ》。で、
知らぬ顔して奥へ通った。 「南無阿弥陀仏《なあまいだぶ》。」 と折から唸《うな....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
には覚えないのに、秋雨の草に生えて、塀を伝っていたのである。 「どうだい、雀。」
知らぬ顔して、何にも言わないで、南天燭の葉に日の当る、小庭に、雀はちょん、ちょんと遊んでいる。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
硝子戸をおろしたトタンに、斜めに振返ったのはお蔦である。 はっと思うと、お蔦は
知らぬ顔をして、またくるりと背を向いた。 汽車出でぬ。 貴婦人 ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
そ大それた忌わしい偽善ではないか。何故なら当然期待さるべき功利的な結果を、彼等は
知らぬ顔に少しも功利的でないものの如くに主張するからだ。 或はいうかも知れない....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
驚き、且つ活ける玩具の、手許に近づきたるを見て、糸を手繰りたる小児、衝と開いて素
知らぬ顔す。 画工、その事には心付かず、立停まりて嬉戯する小児等を※す。 よく....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
引いてとった時、「あ痛、」と声を上げたくらいであるから。…… かくまでの苦痛を
知らぬ顔で堪えた。――幇間が帰ってからは、いまの拷掠については、何の気色もしなか....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、そのままほくほく去ってしまった。 私も聞惚れていた処、話の腰を折られては、と
知らぬ顔で居たっけよ。 大層お店の邪魔をしました、実に済まぬ。」 と扇を膝に....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
。」とこちら向く。その土間なる客の中に、国麿の交りしをわれ見たり。顔を見合せ、そ
知らぬ顔して、仙冠者は舞台の方に眼を転じぬ。牛若に扮したるは小親にこそ。 髪の....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
るのも気まりがわるいが、それよりも一|層恥かしいのは神さまの手前でした。あんな素
知らぬ顔をして居られても、一から十まで人の心の中を洞察かるる神様、『この女はまだ....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の崩れた媚かしさは、田舎源氏の――名も通う――桂樹という風がある。 お桂夫人は
知らぬ顔して、間違って、愛読する……泉の作で「山吹」と云う、まがいものの戯曲を、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
り。予は面目なく覚えたり。小女を見知りし事は主公も知らねば、人口を憚かりてともに
知らぬ顔にて居たり。 予はこれまでにて筆を措くべし。これよりして悦び悲しみ大憂....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
を持っているから。」と思込んで言った。 「飛んでもない、貴下、」と杉。 お若は
知らぬ顔をして莞爾している。 此方は熱心に、 「お願いだから、可いんだから、そ....