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「知り顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

知り顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ってえいうのは、きっとそれですよ。何かつきものでもしたにちげえねえですぜ」 物知り顔にさっそくもう始めた伝六をしりめにかけながら、ずかずかはいっていくと、 「....
薤露行」より 著者:夏目漱石
――路は分れて二筋となる」 「左へ切ればここまで十|哩《マイル》じゃ」と老人が物知り顔にいう。 「ランスロットは馬の頭《かしら》を右へ立て直す」 「右? 右はシ....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
るところを拝見すると、僕はいつでも Agnodice の逸話を思い出すのさ」と物知り顔にしゃべり立てる。「またむずかしい名前が出て来ましたね」と寒月君は依然とし....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
して感ずる。彼は念仏によって成仏することを信じて安住したのである。彼が「善悪の字知り顔に大虚言の貌なり」と言ったのは、何々するは善、何々するは悪というように概念....
魔王物語」より 著者:田中貢太郎
怪がいて、持ちあげているから、其処を捕まえさえすれば好い」と、云うようなことを物知り顔に説明する者もあった。 夜が更けて来るに従って十月|比の陽気のように冷ひ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
。そのために、ハスレルは日の光にたえられないで常に暗闇の中で生活してるのだと、物知り顔の人々は言っていた。 ついにクリストフは、その偉人に近づくことができた。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
話をやめさせ、彼の服装についてあまりありがたくない注意をしたり、または攻撃的な物知り顔で、彼の下品な言葉使いを指摘したりした。彼はもう口をききたくなく、時には機....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、ある一種の道化味をしだいに導き入れる。講演というものは、退屈な喜劇と世俗的な物知り顔、その二つの暗礁の間を行き来する種類のものである。敷石の見知らぬ無言の人々....
西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
とか「世界の広き事思ひしられぬ」とか「智恵の海広く」とか云っている。天晴天下の物知り顔をしているようで今日から見れば可笑しいかもしれないが、彼のこの心懸けは決し....
光は影を」より 著者:岸田国士
も、今度のことは、その男とまつたく関係がないとはいえないね」 年嵩の方が、わけ知り顔に呟いた。 「というと、どういうんです? あ、妹の遺書があるそうですが……....
地上」より 著者:島田清次郎
とをお前に告白する。もうその頃は学校も中途で止してしまって、田舎の新聞記者の名を知り顔を知ることを何よりの光栄とするようになってしまっていた。二十歳の夏東京へ逃....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
彼も相槌を打つ。 ――そうですな。本当に熱心な社会学者ですな。 同時にこの物知り顔の男に序に探ぐって置くことがある。小田島は何気無い風を粧って聞いた。 ――....
雪の日」より 著者:永井荷風
割に沿うた貧家の一間に世をしのび、雪のふる日にも炭がなく、唯涙にくれている時、見知り顔の船頭が猪牙舟《ちょきぶね》を漕《こ》いで通るのを、窓の障子の破れ目から見....
五重塔」より 著者:幸田露伴
巡っていたそうな。いやいや、それは間違い、親分ではない商売上敵じゃそうな、と我れ知り顔に語り伝えぬ。 暴風雨のために準備狂いし落成式もいよいよ済みし日、上人わ....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
も免れたという話だ」 折柄昼やすみで数人集っていたが、中で古参の記者の一人が物知り顔に乗り出して、 「その公高って少年は非常な利口者で、稀れにみる美貌の持主だ....