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知悉
「知悉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
知悉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小作人への告別」より 著者:有島武郎
です。それには、従来永年この農場の差配を担任していた監督の吉川氏が、諸君の境遇も
知悉《ちしつ》し、周囲の事情にも明らかなことですから、幾年かの間氏をわずらわして....
「星座」より 著者:有島武郎
君は御承知のとおり小生会心の一友年来起居をともにしその性格学殖は貴女においても御
知悉《ごちしつ》のはず小生ごときひねくれ者の企図して及びえざるいくたの長所あれば....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
うとする時、分解された諸色をいかに研究しても、それから光線そのものの特質の全体を
知悉することが出来ぬと同様に、智情意の現象を如何に科学的に探究しても、心的活動そ....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
も或る人が或る人を云うのに、「自分はあの人に何年つき合って居る。」などとその人を
知悉して居るように云うのを聞くが、私には首肯出来ない。一昼夜のうちに或る一定時間....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
贈物に乗せられているのだ。これが、すべて、日本に、どんな意味を持つか、勿論山崎は
知悉していた。 「済南は、実に天下の要衝である。陸は南北の中間に位置し、海には、....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
任者であり、且つ被告と神戸との間の往復文書並びに神戸の提出した書状の行方について
知悉している当時の神楽坂警察署長庄司利喜太郎を喚問して、書状の件並びに被告の自白....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
である。この老爺は、牛が塩を嘗めて清水を飲みさえすれば、病も癒えるということまで
知悉していた。月経期の牝牛の鳴声まで聞き分ける耳を持っていた。 アケビの花の紫....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
なったのは複雑な原因がある。その過程には痛ましきさまざまの弁解がある。私はそれを
知悉している。しかしいかなる罪にも弁解の無いのはない。いかなる行為も十分なる動機....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
戦沙汰になりませぬよう有り度い、と云って来た。これは秀吉の方に政宗の国内の事情が
知悉《ちしつ》されているということを語って居るものである。まだ其時は政宗が会津を....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
介は頷いて云った「逸見多四郎殿の門弟として、秩父地方に永らく居た彼、黄金の秘密は
知悉しているはずじゃ」 この時部屋の外の廊下に、つつましい人の足音がし、 「ご....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
な、好都合に計らわれるのは知れていた。そうして美作自身においても、そういうことは
知悉していた。
で、気を呑まれた心持ちから、恢復するや突き進んで、その行列を誰....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
人前の中食が必要であるか、その理由は彼女は知らないのであるが、いかにもその理由を
知悉した上で、ことごとく同感だという情のこもったなれなれしい賛成の仕方で返答する....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
の値打を知らぬはずが無い。ところでまたジルベールがどうしてドーブレクの日常生活を
知悉していたか? いかなる方法を用いて捜索したか? あの晩、ドーブレクが出かけた....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
諒承されたい。 住友さんについてはどんな望みをもって製陶に臨まれたか、私はよく
知悉しない……が、氏は篆刻を鉄城に学んでみ、あるいは富岡鉄斎翁の画を臨写してみず....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
けて源太にずっと通られ、あわてて火鉢の前に請ずる機転の遅鈍も、正直ばかりで世態を
知悉まぬ姿なるべし。 十兵衛は不束に一礼して重げに口を開き、明日の朝|参上ろう....