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知辺
「知辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
知辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「良夜」より 著者:饗庭篁村
用を与えて帰京させたれば、これを徳として年々礼儀を欠ず頼もしき者なればとて、外に
知辺もなければこの人を便りとしたりしなり。尋ね着きて伯父の手紙を渡せば、その人は....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ずみ、分けてその日は朝から降りつづく遣瀬なさに、築地の家を出て、下谷|三の輪辺の
知辺の許へ――どうも前に云った雪中庵の連中といい、とかく赤蜻蛉に似て北へ伸すのは....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
易に見物することが出来んのですけれども、幸いに私は貴族の家(釈迦堂の前の大家)に
知辺があったものですから、その家の窓から投秘剣会を見ることが出来ました。
モン....
「『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
であった。当村居住の確実な保証人を二人立ててくれというのである。幸にして幸雄兄の
知辺があるので、紹介して貰って奔走したけれど、田舎の人は消極的で猜疑心が強くて、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
家族三人、電車満員で困って居ると、折から自転車で来かゝった彼が見かけて、自転車を
知辺の店に預け、女児を負って新橋まで来てくれた。去年の夏の休には富士山頂から画は....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
――何う諫めましても、聞き入れませず――」
百城が
「小太郎殿は、京の近くに、
知辺《しるべ》でもござろうか」
と、母子の顔を見較べた。
「いいえ、
知辺など....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
重大な嫌疑をかけられて、尋常では解くに由なき立場にいるらしいから、いっそ駒井氏の
知辺《しるべ》をもって、藩の上の方へ貰い下げ運動を試み、我々の一族で、決して怪し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
返りましたが、なお、女のために、安心せしむる言葉をつけ足して、 「君は加州金沢の
知辺《しるべ》のところへ身を落着ける、拙者は途中、相当の地点まで君を送って、それ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
思いがけない旅である、人に知られたくない旅の身である、彦根の家中の重役には相当|
知辺《しるべ》はあるけれども、事改めて、そこへ持ち込みたくない。 だが、何とか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の縁なんでしょう、いっそ、金沢をやめて福井へ行きましょうよ、福井にも、たずねれば
知辺《しるべ》はあるわ、福井から三国港《みくにみなと》へ行ってみましょう、三国は....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
業ではない。が、そこはよくしたもので、甚右衛門は絶えず音を立てているから、それを
知辺に方向が定められる。また、彦兵衛が少し遅れると、甚右衛門は角かどに立停まって....
「姨捨」より 著者:堀辰雄
して其屋形にまだ住みつきもしないうちから、少女は母にねだっては、さまざまな草子を
知辺から借りて貰ったりしていた。京へ上ったら、此世にあるだけの物語を見たいという....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
兵衛に斯くと告げた、善兵衛も驚いて心当りへ電話で聞合せたり、居合す店員を指揮して
知辺を尋ねたが皆手を空しく帰って来たのである。 其うち善兵衛が娘の部屋を調べる....
「流転」より 著者:山下利三郎
、まさか東京へ帰るのじゃないでしょう」 「はい、実は梅田停車場の裏の方に、少々|
知辺がありますから、行って泊めて貰おうかと思っています」 「あのウ、悪く思わない....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
かなる仏縁やら、すぐその後で子のおぬしにまた会おうとは。……丹左の行く先はわしが
知辺の江戸の寺、どうせ死ぬならその父に一目会ってから行くがよかろう。そしてわしの....