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矮小
「矮小〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矮小の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鴎」より 著者:太宰治
り他に、忠誠の方法を知らぬ私は、やはり田舎《いなか》くさい馬鹿である。 私は、
矮小《わいしょう》無力の市民である。まずしい慰問袋を作り、妻にそれを持たせて郵便....
「筧の話」より 著者:梶井基次郎
みしょう》や蘚苔《せんたい》、羊歯《しだ》の類がはえていた。この径ではそういった
矮小《わいしょう》な自然がなんとなく親しく――彼らが陰湿な会話をはじめるお伽噺《....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
らして、残忍無比で、敵としては非常に警戒を要する。加うるに、火星の生物は、体躯が
矮小で、知能は高く、強大なる原動力を支配し、すでに地球上の地形風俗文化さえも調査....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
|辿りはじめた左手のものは、全長が二十センチほどの男の靴跡で、はなはだしく体躯の
矮小な人物らしく思われるが、全体が平滑で、いぼも連円形もない印像の模様を見ると、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、矮人が棲み有尾人がいる。そしてそれが、場所というのが|悪魔の尿溜で、棲んでいる
矮小有尾人がすなわちドドとなる――座間がこう結論したのである。 「なるほど、しか....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
は、へこたれはせぬけれど、僕がきょう斎藤氏邸からの帰り道、つくづく僕自身の無名、
矮小を思い知らされて、いやになったのだ。斎藤氏と僕、あまりにも違いすぎていたのだ....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
こちと廊下を歩き廻っている白い犬がおげんの眼に映った。狆というやつで、体躯つきの
矮小な割に耳の辺から冠さったような長い房々とした毛が薄暗い廊下では際立って白く見....
「自作を語る」より 著者:太宰治
ら、それっきりだ。一言も無い。 私は、私の作品を、ほめてくれた人の前では極度に
矮小になる。その人を、だましているような気がするのだ。反対に、私の作品に、悪罵を....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
近附く舟もなく、陸からの道には“Niningo”の大湿地があり、じつに山中に棲む
矮小黒人種さえ行ったことがないと云う。かれは、まず皇后オウガスタ川を遡っていった....
「ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
行き、異教徒を討払い、キリストの墳墓を清むべし」と絶叫した。この僧の風采は、短躯
矮小みるかげもないものであり、身には襤褸をまとい腰には縄の帯をしめ、醜穢をきわめ....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
日輪が出た、六時十分に絶頂を指して登りはじめた、平坦な芝生に多くは小池があって、
矮小な灌木や熊笹の繁茂している所がままあるが、展望を妨げるようなことは少しもない....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
らいは情ない、十兵衛は馬鹿でものっそりでもよい、寄生木になって栄えるは嫌いじゃ、
矮小な下草になって枯れもしょう大樹を頼まば肥料にもなろうが、ただ寄生木になって高....
「特殊部落と細民部落・密集部落」より 著者:喜田貞吉
外、農業によってかなり豊かな生計を営んでいたそうであるが、今は数条の隘巷を挟んで
矮小なる陋屋が密集し、明治四十年の調べに、二百七十五の戸数をここに収めているとい....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
原の中を歩き廻った。 原は水苔の床らしく踏むとじめじめしている。東寄りの方には
矮小な黒檜白檜の一叢が沙漠の沃地を見るが如くに碁布しているけれども、其他は茫々た....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
条の竪縞を織り出している。大雨の際に瀑の懸る水筋の跡であろうと思った。ギボウシや
矮小な木が其処此処の凹くなったり襞になったりした所に、ちょぼちょぼ生えてはいるが....