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石塀
「石塀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
石塀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
「早くやれッ!」 洋車は、塵埃と炎熱の巷へ吸いこまれて行った。 小路の奥の、
石塀の中の一ツの家では、すゞが、安物の手ミシンにむかって、ドレスを縫ったり、ほぐ....
「猿ヶ島」より 著者:太宰治
見てとったのである。子供たちが訳のわからぬ言葉をするどく島へ吐きつけて、そろって
石塀の上から影を消してしまってからも、彼は額に片手をあてたり尻を掻きむしったりし....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
1
細かい点を除いて大点判つた所は右の様なものであつた。
秋川家の南側の
石塀を乗り越えて侵入し更にそこから脱出した者のある証拠があるので現場臨検後警察官....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
という真正直なろうま人の努力!――なんかと感心してる僕の視線を、ほるとがる荒野の
石塀とコルクの樹とゆうかりに手を通そうとしているところで、第四人目に楽しく殺害さ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
なければなりません。ベニイの家は、その近くから始まっています。それは、白い、高い
石塀の上から、巨大な赤松の林立が、周囲に、森のような影を落していることによって、....
「未来の天才」より 著者:豊島与志雄
…。私の考えは次第に恋しい空想の中に陥っていった。 たしか、片方が大きな邸宅の
石塀になってる静かな通りだった。私がゆっくり足を運んでると、ふいに前方から非常な....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
めた。もう何物にも逆《さから》いたくなく、何事も考えたくなかった。 砲兵工廠の
石塀に沿って暫く歩いた後、お清は肩掛の中から突然云った。 「井上さん、あなたその....
「都会の幽気」より 著者:豊島与志雄
者が悲憤の拳を握りしめただろう。或る十字街には、争闘者の短刀が閃いただろう。或る
石塀には、高笑いをする狂人が唾液を吐きかけただろう。其他数えきれないほどのことを....
「北支点描」より 著者:豊島与志雄
たちまち癒えるし、元気な者は恋を語ってもよかろう。鳩の羽音に驚いて立上れば、低い
石塀を越して、堀の向う、旧紫金城の城壁下の人通りも少い広場には、看相を業とする老....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
歎息しているが、疑惑は咀われてもなお執拗につきまとって離れない。 北平の胡同の
石塀から表の街路に枝を出して、ここにもかしこにもといったように、夾竹桃が派手に咲....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
、ここばかりは今年の冬に新しく改修されたたっぷり一丈はあろうと思われる高い頑丈な
石塀にケバケバしくとりまかれていた。屋敷の表はアパートの前を東西に通ずる閑静な六....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
匹の金魚を放ったら、これまた三日間で全滅した。 池から二間の距離のところに高い
石塀がある。この
石塀には甲羅をへて化けそうな蔓が入りみだれて絡みついている。私は....
「南京虫殺人事件」より 著者:坂口安吾
域にかかった。一ツの邸宅が広さ何千坪、中には一万坪を越すような大邸宅もある。高い
石塀がエンエンと曲りくねってつづき、昼でも人通りがほとんどなくて淋しいところ。石....
「十九の秋」より 著者:永井荷風
とば》から二、三町とは離れていないので、鞭《むち》の音をきくかと思うと、すぐさま
石塀に沿うて鉄の門に入り、仏蘭西《フランス》風の灰色した石造りの家の階段に駐《と....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
民もやはり沢山に観に来て居ります。大本堂から繰り出して僧舎の間を二町ばかり下って
石塀の外に出ますと、広庭になって居る。それはラサ府まで見晴しの広庭である。その広....