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「石塔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

石塔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
った。辻には、石でまわりを積んだ一囲いの土饅頭《どまんじゅう》があって、その上に石塔婆《せきとうば》が二本、並んで、午後の日にかっと、照りつけられている。その根....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
う》松江《まつえ》祥光院《しょうこういん》の墓所《はかしょ》には、四基《しき》の石塔が建てられた。施主は緊《かた》く秘したと見えて、誰も知っているものはなかった....
日光小品」より 著者:芥川竜之介
場がある。墓場は石ばかりの山の腹にそうて開いたので、灰色をした石の間に灰色をした石塔が何本となく立っているのが、わびしい感じを起させる。草の青いのもない。立花さ....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
」 彼は顔を知らない父に、漠然とした親しみを感じていた。が、この憐《あわれ》な石塔には、何の感情も起らないのだった。 母はそれから墓の前に、しばらく手を合せ....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
った。 「点鬼簿」に加えた三人は皆この谷中《やなか》の墓地の隅に、――しかも同じ石塔の下に彼等の骨を埋《うず》めている。僕はこの墓の下へ静かに僕の母の柩《ひつぎ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
んわんうなって二人に襲いかかった。 仁右衛門は死体を背負ったまま、小さな墓標や石塔の立列《たちつらな》った間の空地に穴を掘りだした。鍬の土に喰い込む音だけが景....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
見えました」 手桶に水と樒とを入れて、半七は墓場へ行った。墓は先祖代々の小さい石塔で、日蓮宗の歌女代は火葬でここに埋められているのであった。隣りの古い墓とのあ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の頃ではあるが、墓場にはもう秋らしい虫が鳴いていた。半七は何物かをたずねるように石塔のあいだを根気よく縫い歩いていると、墓場の奥の方に紫苑が五、六本ひょろひょろ....
星あかり」より 著者:泉鏡花
心張棒を構えたのは、自分を閉出したのだと思うから、我慢にも恃むまい。…… 冷い石塔に手を載せたり、湿臭い塔婆を掴んだり、花筒の腐水に星の映るのを覗いたり、漫歩....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
に当たる人の娘である。 翌日は姉夫婦と予らと五人つれ立って父の墓参をした。母の石塔の左側に父の墓はまだ新しい。母の初七日のおり境内へ記念に植えた松の木杉の木が....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
参りました私は、不意にギョッとなって立ち止まったのでございます。――見れば、まだ石塔の立っていないために、心持ち窪んで見える奥様のお墓のところから、夜目にもホノ....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
拵えだし、腰達者に、ずかずか……と、もう寄った。 「いや、御苦労。」 と一基の石塔の前に立並んだ、双方、膝の隠れるほど草深い。 実際、この卵塔場は荒れていた....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
離れているといいんだがな。近いと、どうも、この年でも極りが悪い。きっと冷かすぜ、石塔の下から、クックッ、カラカラとまず笑う。」 「こわい、おじさん。お母さんだが....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ゃでの、棄てるも勿体なし……誰方ぞ参詣の折には、手向の花を挿れても可いと思うて、石塔の前に据置きましたじゃ。さ、さ、回向をなされ。いずれも久しい馴染じゃな。」 ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
た。 この墓地も僕にはなつかしかった。僕は僕の友だちと一しょに度たびいたずらに石塔を倒し、寺男や坊さんに追いかけられたものである。尤も昔は樹木も茂り、一口に墓....