石炭酸[語句情報] » 石炭酸

「石炭酸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

石炭酸の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
いものが小屋の中を出たり這入《はい》ったりした。仁右衛門夫婦の嗅《か》ぎつけない石炭酸の香は二人を小屋から追出してしまった。二人は川森に付添われて西に廻った月の....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
て門の外まで出て見ますと、狭い横町の入口には大勢の人が集まって騒いでおりまして、石炭酸の臭いが眼にしみるようです。病人は避病院へ送られるらしく、黄いろい紙の旗を....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
問 発掘した骸骨を被告の口に当て接吻させ、又消毒してやると称して、被告の頭に石炭酸を掛けた事はないか。被告はそう云う事があったと申して居るぞ。 答 そんな....
花吹雪」より 著者:太宰治
なっているので、水で洗えと云う人がある。酒で洗えと云う人がある。近所の医者の処へ石炭酸水を貰いに遣れと云う人がある。手を包めと云って紙を出す。手拭を出す。(中略....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
て、すでに一月あまり過ぎし今日このごろは、なお幾分の痛みをば覚ゆれど、ともすれば石炭酸の臭の満ちたる室をぬけ出でて秋晴の庭におりんとしては軍医の小言をくうまでに....
眼を開く」より 著者:夢野久作
重に包装した木箱の中から、鋸屑に埋めた小さな二つの硝子瓶が出て来た。その一つには石炭酸と貼紙がしてあり、今一個の瓶は点眼用となっていて、何の貼紙もしてない。その....
幽霊と推進機」より 著者:夢野久作
いてはいないらしかった。 それから一時間と経たないうちに、いい加減に薄められた石炭酸だの、昇汞だの、石灰水だのがドシドシ運びおろされて、チャンコロ部屋一面にブ....
一足お先に」より 著者:夢野久作
ばかり低いタタキになっていて、夥しい解剖学の書物や、古い会計の帳簿類、又は昇汞、石炭酸、クロロホルムなぞいう色々な毒薬が、新薬らしい、読み方も解らない名前を書い....
土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
も、坑夫は、溜息をついて、眼を下へ落した。 「うちの市三、別条なかったかなア!」石炭酸の臭いがプン/\している病院の手術室へ這入ると、武松は、何気なく先生、こん....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
たかも知れないが、アンポンタンが意識した初対面の印象だった。彼の身辺《まわり》は石炭酸の香《かおり》がプンプンした。 「ヒョウソになる性《たち》だから、これは働....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
るのだらう。この節のお客は特別伝染病をこはがるタチだから、とつとと帰つておくれ。石炭酸をブッかけるぜ」 「アレまア旦那、私や五色の色に光る目玉は始めてだよ。ふん....
炎の人――ゴッホ小伝――」より 著者:三好十郎
えゴッホさん! ヴィン お願いだ、シィヌ! シィヌ!(引き戻そうとする) シィヌ石炭酸で、ようく洗いなよ。あたいにゃ病気があるんだから。うつってんだよ、お前さん....
すみだ川」より 著者:永井荷風
ち》の中に取り残されてしまった。 家の中は区役所の出張員が硫黄《いおう》の煙と石炭酸《せきたんさん》で消毒した後《あと》、まるで煤掃《すすは》きか引越しの時の....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
ごたらしかった。その傍らには、ここにもまた夾竹桃が血の色に咲いていて、ひっそりと石炭酸が匂っている。私はふっと不吉な予感を覚えた。 警報解除のサイレンが、身体....