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石菖
「石菖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
石菖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「手紙」より 著者:芥川竜之介
はいつも怪我《けが》をした仲間を食うためにやっていると云うことです。僕はだんだん
石菖《せきしょう》のかげに二匹の沢蟹の隠れるのを見ながら、M子さんのお母さんと話....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
馬場裏の往来に近く、南向の日あたりの好い障子のところに男や女の弟子を相手にして、
石菖蒲、万年青などの青い葉に眼を楽ませながら錯々と着物を造える仕立屋が居る。すこ....
「家」より 著者:島崎藤村
が下座敷へ来ている。玻璃障子のところへ寄せて、正太の机が移してあって、その上には
石菖蒲の鉢なぞも見える。水色のカアテンも色の褪せたまま掛っている。 老婆は茶を....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
に聞こえた。 五六軒しかない貸座敷はやがてつきた。一番最後の少し奥に引っ込んだ
石菖の鉢の格子のそばに置いてある家には、いかにも土百姓の娘らしい丸く肥った女が白....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
滅の惨状に会うた。
(明治四十四年 五月二十四日)
春の暮
庭
石菖、またの名は草あやめの真盛りである。茜がかった紫と白と、一本二本はさしてめで....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
数十度打ってようやく死ねど、口を張って風に向ければ暫くして復《また》活《い》く、
石菖蒲でその鼻を塞《ふさ》げば即死す。その脳を菊花に和し十斤を服せば五百年生き得....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
とを怠らなかった。西瓜の粒が大きく成るというので彼は秋のうちに溝の底に靡いて居る
石菖蒲を泥と一つに掻きあげて乾燥して置く。麦の間を一畝ずつあけておいてそこへ西瓜....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
あとからあとからとおじぎをして出てゆくし、私は縁側で、千なりほおずきをとったり、
石菖《せきしょう》に水をやったりして怒られたり褒《ほ》められたり、お手だまをとっ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ょうぶ》が、たっぷり筒形の花いけに入れてあったり、万年青《おもと》の鉢があったり
石菖《せきしょう》の鉢がおいてあったりした。おばあさんは長刀《なぎなた》ほおずき....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
二 (どうにも今は変な時世だ。物を贈るにも流行がある。以前には岩
石菖が流行ったっけ) 以前に田沼主殿頭が、病床に伏したことがあった。病気見舞い....
「料理番と婢の姿」より 著者:田中貢太郎
の便所へは一跨ぎの渡廊下がついていて、昼見ると下には清水の流れている小溝があって
石菖などが生えていた。渡廊下の前には寒竹のような小さな竹で編んだ眼隠がしてあった....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
按ずるに後成恩寺関白|兼良《かねら》公の尺素往来《せきそおうらい》に雑草木を載て
石菖蒲、獅子鬚、一夏草、万年草、金徽草、吉祥草といへり爾者此草当山のみ生茂するに....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
が、 「兄さんが大好きで、そっちの物置の窓から、よく足をぶら下げて屋根を覗いた、
石菖鉢の緋目高ね……」 と、唇か、瞼か。――手絡にも襟にも微塵もその色のない、....
「妾宅」より 著者:永井荷風
つかしく、如何にも浮世に遠く失敗した人の隠家らしい心持ちをさせる事を喜んでいる。
石菖《せきしょう》の水鉢を置いた※子窓《れんじまど》の下には朱の溜塗《ためぬり》....
「夏の町」より 著者:永井荷風
ている。其処《そこ》から窓の方へ下《おり》る踏板の上には花の萎《しお》れた朝顔や
石菖《せきしょう》やその他の植木鉢が、硝子《ガラス》の金魚鉢と共に置かれてある。....