石鹸[語句情報] » 石鹸

「石鹸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

石鹸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
少年」より 著者:芥川竜之介
年上の女中が一人、湯気《ゆげ》の立ちこめた硝子障子《ガラスしょうじ》をあけると、石鹸《せっけん》だらけになっていた父へ旦那様《だんなさま》何とかと声をかけた。父....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
まだ濡れているのかと思うほど、艶々と櫛目《くしめ》を見せています。それが濡手拭と石鹸の箱とをそっと胸へ抱くようにして、何が怖いのか、往来の右左へ心配そうな眼をく....
或る女」より 著者:有島武郎
々しいほど目の大きな、そのくせ黒目の小さな、青白い顔が、薄暗い店の奥から、香料や石鹸《せっけん》の香につつまれて、ぼんやり浮き出たように見えるのが、何か鏡の破《....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
わろうとも、私は結局在来の支配階級者の所産であるに相違ないことは、黒人種がいくら石鹸で洗い立てられても、黒人種たるを失わないのと同様であるだろう。したがって私の....
性急な思想」より 著者:石川啄木
現在に全く没頭しているのであるから、世の中にこれ位|性急《せっかち》な(同時に、石鹸玉《しゃぼんだま》のように張りつめた、そして、いきり立った老人の姿勢のように....
婦系図」より 著者:泉鏡花
を憚って、台所の暗がりへ入ると、二階は常ならぬ声高で、お源の出迎える気勢もない。石鹸を巻いた手拭を持ったままで、そっと階子段の下へ行くと、お源は扉に附着いて、一....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
時々は向うから誘うこともあった。気がつかずにいたが、毎度風呂の中で出くわす男で、石鹸を女湯の方から貰って使うのがあって、僕はいつも厭な、にやけた奴だと思っていた....
赤外線男」より 著者:海野十三
な方をお招きすることもありますのでネ」 「だけど、このオレンジ・エード、なんだか石鹸くさいのネ。あたし、よすッ」 半分ばかり吸ったところで、ダリアは吸管を置い....
地獄の使者」より 著者:海野十三
器の握り栓をひねって、景気よく水を出した。そしてゴム手袋をぬいで、持参の小壜から石鹸水らしいものを手にたらして、両手を丁寧に洗った。 彼がタオルを使い出したと....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
貨も商っている……あれは何と言う家だい。」 「白粉や香水も売っていて、鑵詰だの、石鹸箱はぴかぴかするけど、じめじめとした、陰気な、あれかあね。」 「全くだ、陰気....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
暖簾の藍もぱっと明い、桜湯の前へ立った。 「糸ちゃん、望みが叶うと、よ、もやいの石鹸なんか使わせやしない。お京さんの肌の香が芬とする、女持の小函をわざと持たせて....
露肆」より 著者:泉鏡花
タカタカタと毛を吹くばかりの呼吸づかいに連れて、五つ七つたちどころに、パッパッと石鹸玉が消えるように、上手にでんぐり、くるりと落ちる。 落ちると、片端から一ツ....
人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
た手術衣を外した。 次に洗面器に、新しい湯を貰ってきて、その中に手をつけると、石鹸を十分につけてゴシゴシと洗った。そうして始めて手拭を出して、両手をよく拭った....
註文帳」より 著者:泉鏡花
へ出て、その薬鑵の湯を打ちまけると、むっとこう霧のように湯気が立ったい、小棚から石鹸を出して手拭を突込んで、うつむけになって顔を洗うのだ。ぐらぐらとお前その時か....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
吐きもしようし努力もするだろうが、暫らくしたら多年の抱懐や計画や野心や宿望が総て石鹸玉の泡のように消えてしまって索然とするだろう。欧洲戦が初まる前までどころか、....