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砂埃
「砂埃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
砂埃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
輔はもの心を覚えてから、絶えず本所の町々を愛した。並み木もない本所の町々はいつも
砂埃《すなぼこ》りにまみれていた。が、幼い信輔に自然の美しさを教えたのはやはり本....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
とり》歩いて行った。三十分汽車に揺《ゆ》られた後《のち》、さらにまた三十分足らず
砂埃《すなほこ》りの道を歩かせられるのは勿論永久の苦痛である。苦痛?――いや、苦....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
い叫び声が、もう一度頭上の空気を裂《さ》いた。彼は思わず首を縮《ちぢ》めながら、
砂埃《すなほこり》の立つのを避けるためか、手巾《ハンカチ》に鼻を掩《おお》ってい....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
えんきょう》四年三月の末である。門の外では、生暖《なまあたたか》い風が、桜の花と
砂埃《すなほこり》とを、一つに武者窓へふきつけている。林右衛門は、その風の中に立....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
》だった。黄塵とは蒙古《もうこ》の春風《しゅんぷう》の北京《ペキン》へ運んで来る
砂埃《すなほこ》りである。「順天時報《じゅんてんじほう》」の記事によれば、当日の....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
九時十時となると、蝉《せみ》が往来から見える高い梢で鳴きだす、だんだん暑くなる。
砂埃《すなぼこり》が馬の蹄《ひづめ》、車の轍《わだち》に煽《あお》られて虚空《こ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ら。おい、肝心な処だ。フム、」 乗って出たのに引込まれて、ト居直って、 「あの
砂埃の中を水際立って、駈け抜けるように、そりゃ綺麗だったと云うのだ。立留って見送....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
、上から揺って沸立たせるような凄まじい風が吹く。 その窓を見向いた片頬に、颯と
砂埃を捲く影がさして、雑所は眉を顰めた。 「この風が、……何か、風……が烈しいか....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
える。多分、三島の町だろう。 やがて自動車は、ゴールにはいるランナーのように、
砂埃を立てて一段とヘビーをかけた。直線コースにはいるに従って、白塗の停車場がギラ....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
、大なる氷河が幾筋となく山頂から流れているにもかかわらず、麓の高原は乾き切って、
砂埃とゴロタ石の間に栽培した柑橘類の樹木が、疎らに立っているばかり。それに比べる....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
乗っとくれ。ぐずぐずしていると其処へ置いてゆくぜ」 と、満載した材木の蔭から、
砂埃でまっくろになった運転手の顔が覗いた。 「ええ、あたし、此処でいいのよ。運転....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
自動車というものが走り出した時、かなりの人でさえも、不愉快を感じたものであった。
砂埃と煙を立てて走って行く姿を見てあれは暴君だといってよく怒ったものである。風致....
「些細な事件」より 著者:井上紅梅
もん》の方へ向って歩いている。 わたしはこの時突然一種異様な感じを起した。全身
砂埃を浴びた彼の後影《うしろかげ》が、刹那に高く大きくなり、その上|行《ゆ》けば....
「初往診」より 著者:小酒井不木
に身を投げた。 風のない、いやに蒸暑い午後であった。道の両側に茂った稲の葉には
砂埃が白くたまって、彼処此処から、雨を呼ぶ蛙の声が聞えた。彼は額ににじむ汗を拭お....
「「エタ」名義考」より 著者:喜田貞吉
ウになった例で説明すればよいようなものの、これは自然の転訛らしくはない。東国では
砂埃をスナッポコリという様に、ことさらに促音を入れて呼ぶ例が多いけれども、上方に....