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砂塵
「砂塵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
砂塵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
である。――石をも焦がすようなエルサレムの日の光の中に、濛々と立騰《たちのぼ》る
砂塵《さじん》をあびせて、ヨセフは眼に涙を浮べながら、腕の子供をいつか妻に抱《だ....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
林の善き感化はこれに止《とど》まりませんでした。樹木の繁茂は海岸より吹き送らるる
砂塵《すなほこり》の荒廃を止《と》めました。北海沿岸特有の砂丘《すなやま》は海岸....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
もある、内心困った事になったと思いながらも、程よく一列に並び、一、二、三の掛声で
砂塵を蹴立てて一目散に駆け出した。 (一九)一里競争 先頭は誰ぞと見れ....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
砕いて、必死の覚悟を示した。 この日は、夜明け方から吹き募《つの》った、烈風が
砂塵を飛ばして、城攻めには屈強の日と見えた。正辰《しょうたつ》の刻限から、寄手は....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
草原が見えるばかりで、怪人物の姿は何処にも見えなかった。ただ遥か向うを、濛々たる
砂塵が移動してゆくのが目に入った。 「ああ、あれだッ。自動車で逃げたナ」 彼は....
「火星探険」より 著者:海野十三
一せいに高くさしあげた。 するとふしぎにも、風がぴゅうぴゅう吹きだした。沙漠の
砂塵が、舞いあがった。と、宇宙艇を包んでいたエフ瓦斯の幕が吹きとばされて見る見る....
「時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
がいなく一分後に、時計屋敷は大爆発し、天にふきあがり、崩壊《ほうかい》し去った。
砂塵《しゃじん》のようになった破片がおさまると、さっきまで見えていた大時計台が、....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
漠の下の防空壕を匐いだすと、そこに出迎えている常用戦車の中に乗り込み、文字どおり
砂塵を蹴たてて西進し、重工業地帯へ出動するのであった。 そこでは、これまた、得....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
側を駆けぬけた。 「危い!」 彼は畦をとびこえて、舗道から逃げた。 濛々たる
砂塵をあげて、トラック隊は、ひきもきらず、呆然たる彼の前を通りぬけていった。 “....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
と言捨てに突放す。 (あれ。)と云う声がうしろへ、ぱっと吹飛ばされる風に向って、
砂塵の中へ、や、躍込むようにして一散に駈けて返った。 後に知った、が、妾じゃな....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
風と云おうか、悪風と去おうか、突如として黒姫おろしが吹荒んだ。それに巻上げられた
砂塵に、行列の人々ことごとく押包まれた。雲か霧かとも疑わした。 笹尾は急いでお....
「錦紗」より 著者:犬田卯
引っ張り出し、そして鼻腔を抑えた。 「お通ちゃん、どこサ行ぐのよ。」 濛々たる
砂塵を捲き立てて走りすぎるバスの窓から首だけ出して言葉を投げてよこしたのは、隣り....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の件の茶店の端へ納戸から出て来た。砂利を積んだ車がまたぐらぐらと橋を揺ったので、
砂塵濛々、水も空も、日が暮れて月が冴えねば、お夏が彳んだ時のように澄みはしない。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ているのである。) 秘露天無水去来頻。 (秘露の空は雨をもたらさず、里馬のまちは
砂塵のみがある。その塵をおさえるために、電車は昼夜をわかたず水をふりまきながらし....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
その方面の弊害は少いのですが、それ以外に気候に乾湿の差が烈しく、吹きまくる烈風は
砂塵を上げ、職業戦線は狂わんばかりの競争が行われ、鬱屈する気分は刹那的、末梢的の....