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「砂壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

砂壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
だ間《ま》がある。のに日は落ちた。床《とこ》は一間を申訳のために濃い藍《あい》の砂壁に塗り立てた奥には、先生が秘蔵の義董《ぎとう》の幅《ふく》が掛かっていた。唐....
草枕」より 著者:夏目漱石
で、渋いところがせり出して、あんないい調子になったのだと思う。焦茶《こげちゃ》の砂壁《すなかべ》に、白い象牙《ぞうげ》の軸《じく》が際立《きわだ》って、両方に突....
島原心中」より 著者:菊池寛
、徳利などが、ごたごた片寄せられているのです。壁は京都の遊郭によくある黄色っぽい砂壁ですが、よく見ると、突き当りの壁には、口に含んで霧にでも吹いたように、血が一....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
いる。 宛名を書くのがめんどう臭くなって来る。ぼんやりとしてしまう。ふっと横の砂壁にちらちらと朝の陽が動いている。幻燈のようなり。池田さんも、富田さんも大島の....
我に叛く」より 著者:宮本百合子
。 先、ゆき子は、陽気な食堂や客間からここに引取って、一旦、静に光を吸う茶色の砂壁に囲まれさえすれば、もうそれだけで完全に、集注した心を取戻せた。暗い曲りくね....
名娼満月」より 著者:夢野久作
骨の障子。音もなく開きますれば青々とした三畳敷。五分|縁の南京更紗。引ずり小手の砂壁。楠の天井。一間二枚の襖は銀泥に武蔵野の唐紙。楽焼の引手。これを開きますると....
旅愁」より 著者:横光利一
した。ふと彼は永く忘れていた子供のころのまま事を思い出した。柱の手擦れた汚れや、砂壁の爪の痕跡など、それぞれ自分の身を包んでいた殻のように感じられ、加わる疲れの....
私の覚え書」より 著者:宮本百合子
廊下に立ったまま、それでも大分落付いて私は、天井や壁を見廻した。床の間などには砂壁が少し落ちたらしいが、損所はない。その中、不図、私の目は、机の上にある良人の....
一九二七年春より」より 著者:宮本百合子
間に白、桃色、朱、一株の鬼百合をまぜ、赤絵壺にさして飾る。 床壁、緑っぽき黒の砂壁、その前に花の色、実に落付いて美しき調和。 絵――油、にかきたい心持がした....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
て来そうな位に傾いた古い軒の格子を見上げたり、又、去年まではまだ僅かに残っていた砂壁がいまはもう跡方もなくなって、其処がすっかり唐黍畑《とうきびばたけ》になって....
楡の家」より 著者:堀辰雄
て来そうな位に傾いた古い軒の格子を見上げたり、又、去年まではまだ僅かに残っていた砂壁がいまはもう跡方もなくなって、其処《そこ》がすっかり唐黍畑《とうきびばたけ》....
追憶」より 著者:宮本百合子
になって居たので、其処がすぐ「お叔父ちゃんのお部屋」に定められて居た。 非常に砂壁の落ちる棚の上だの部屋の周囲にはトランクから出した許りで入れるものもない沢山....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
っていらっしゃったら、きっと、なかなかいいじゃないか、と仰云るでしょう、この室は砂壁でね、もう古いもんだから糊がぼけて、一寸さわってもザラザラ落ちるのよ、其がい....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
廊下のほうは、太鼓なりの渡り廊下のはしから階下へおりる階段へつづき、片側はずっと砂壁《すなかべ》で、二階座敷はここだけで行きどまり。 階段の下は錠口になってい....