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砂煙
「砂煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
砂煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
は、高くいななきながら、長い鬣《たてがみ》をさっと振るうと、四つの蹄《ひづめ》に
砂煙をまき上げて、またたく暇に太郎をそこへ疾風のように持って行った。
「次郎か。....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
と思う内に、難なくそこを飛び越えた。そうしてこちらの水際《みぎわ》へ、雲のような
砂煙を舞い上げながら、どさりと大きな尻餅《しりもち》をついた。それは彼等の笑を買....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
るように、一しきり風が動いたと思うと、まっさきにひらりと舞上ります。と、かすかな
砂煙の中から囁くような声が起って、そこここに白く散らかっていた紙屑が、たちまちア....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
て駈け去りぬ。 乗り合いは切歯《はがみ》をしつつ見送りたりしに、車は遠く一団の
砂煙《すなけぶり》に裹《つつ》まれて、ついに眼界のほかに失われき。 旅商人体《....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
たから、小さな親仁《おやじ》は仰向けに引《ひっ》くりかえった、ずどんどう、月夜に
砂煙がぱっと立つ。
白痴《ばか》にもこれは可笑《おか》しかったろう、この時ばか....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
と源助の言つき、あたかも口上。何か、恐入っている体がある。 「夜があけると、この
砂煙。でも人間、雲霧を払った気持だ。そして、赤合羽の坊主の形もちらつかぬ。やがて....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
の辺では、あまり見懸けない自動車らしい音色だった。 「ほーン、ほーン」 街道の
砂煙りを、パッと一時に、濛々と立ち昇らせて、果せるかな、立派な幌型自動車が、二台....
「海底都市」より 著者:海野十三
して仕事をはじめると、すぐ分るんだ。さっきも僕は、とつぜん海底の丘のかげから急に
砂煙《すなけむり》がむくむくとまるで噴火《ふんか》のようにたちのぼり始めたのを見....
「火星探険」より 著者:海野十三
エンジンは外《はず》された。弾力はまだ残っていた。宇宙艇は沙漠のまん中を、濛々と
砂煙をあげてなおも滑走した。 が、何が幸いになるか分らないもので、この沙漠着陸....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
たんで。しばらくして突立って、わってッて追い駆けると、もうわいわいという騒ぎで、
砂煙が立ってまさ。あれから旅籠町へ抜けて、東四十物町を突切って、橋通りへ懸って神....
「白光」より 著者:井上紅梅
で、これだけのことを悲しげに言った。 子供等はぞんざいに本を包んで小腋に抱え、
砂煙を揚げて馳け出して行った。 陳士成はまだいろいろの小さな頭が黒い輪に挟まれ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
然たる癡呆の一書生なり。馬車の動揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる肺臓は
砂煙りに混じたる汚濁|臭穢の空気を吸い込み、馬車人力車の轟きさながらに地獄の如く....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
びた状の、あらゆる記念と一緒に、太鼓も泥草鞋も一まとめに引かかえて、大きな渠は、
砂煙を上げて町の方へ一散に遁げたのである。 浪はのたりと打つ。 ハヤ二、三人....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
五人前後に分れて、賽の目のように散らばった。 要こそあれ滅多|当に拳を廻して、
砂煙の渦くばかり、くるくる舞して働きながら、背後から割って出て、柳屋の店頭に突立....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
っていたが、喧嘩の夢どころではない、殺人の意気天に冲して、この気疾の豪傑、月夜に
砂煙を捲いて宙を飛んだのであった。 この意気なればこそ、三日握り詰めたお夏の襟....