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砧
「砧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
砧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
体こそ痩《や》せていたものの、誰よりも美しい顔をしていた。僕は彼女の顔を見た時、
砧手《きぬたで》のギヤマンを思い出した。実際また彼女は美しいと云っても、どこか病....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
渦巻く姿を見せた。仕事場の鞴《ふいご》の囲《まわ》りには三人の男が働いていた。鉄
砧《かなしき》にあたる鉄槌《かなづち》の音が高く響くと疲れ果てた彼れの馬さえが耳....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
十 午後、宮ヶ崎町の方から、ツンツンとあちこちの二階で綿を打つ音を、時ならぬ
砧の合方にして、浅間の社の南口、裏門にかかった、島山夫人、早瀬の二人は、花道へ出....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
の花咲きたる垣に沿うて荒むしろを敷き、姉娘桂、二十歳。妹娘楓、十八歳。相対して紙
砧を擣っている。) かつら (やがて
砧の手をやめる)一※あまりも擣ちつづけたので....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
新宇宙艇 月世界探険の新宇宙艇は、いまやすべての出発準備がととのった。 東京の郊外の
砧といえば畑と野原ばかりのさびしいところである。そこに三年前から密かにバラック工....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
風呂敷の中を見よ。土佐の名手が画いたような、紅い調は立田川、月の裏皮、表皮。玉の
砧を、打つや、うつつに、天人も聞けかしとて、雲井、と銘ある秘蔵の塗胴。老の手捌き....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ごし、尚も人なき野中の細道、薄茅原、押分け押分け、ここは何処と白妙の、衣打つらん
砧の声、幽にきこえて、雁音も、遠く雲井に鳴交わし、風すこし打吹きたるに、月|皎々....
「作画について」より 著者:上村松園
止むを得ません。 「序の舞」は政府のお買上げになったもので、私の「草紙洗小町」「
砧」「夕暮」の老境に入っての作の一画をなす、いわば何度目かの画期作とも言うべきも....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
ます。 私は謡曲が好きな故か謡曲から取材して描いた絵は相当にあります。中でも「
砧」や「草紙洗小町」などはその代表的なものでしょう。 もっとも絵の材料になると....
「花筐と岩倉村」より 著者:上村松園
おもい出しても妙な気持ちに誘われるものがある。 この絵も、「草紙洗小町」や、「
砧」などと同じく謡曲の中から取材したもので、なかなか美しい舞台面をみせる狂言なの....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
と共に針仕事の稽古をしている。百姓善助、五十余歳、鍬を持ちて縁に腰をかけている。
砧の音きこゆ。) 善助 みんな好く精が出るな。なんと云っても、女は針仕事が大事だ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いて、あちらにも茅屋が一つ、こちらにも茅屋が一つ。その屋根に狐が居たとか、遠くで
砧が聞えたとか。つまり畑へ入って瓜を盗んで食ううちに、あたり一面の水になって、膝....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
女房は、石のように固くなって愛吉が膝を揃えて畏っていたのを見た。月の夜の玉川に、
砧を枕にした風情、お夏は愛吉のその膝に、なおすやすやと眠っていた。 密と起して....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
独り合点か、しぐれといえば、五月頃。さて幾代餅はどこにあろう。卯の花の礼心には、
砧まき、紅梅餅、と思っただけで、広小路へさえ急足、そんな暇は貰えなかったから訪ね....
「砧」より 著者:上村松園
謡の「
砧」に取材したものですが、章句の中には格別に時代が決定されていませんので、私の自....