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「砲煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

砲煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
うに鯱張《しゃちこば》っても上がる事は出来ん。二竜山《にりゅうざん》から打出した砲煙が散じ尽した時に上がれぬばかりではない。寒い日が旅順の海に落ちて、寒い霜《し....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
」とM君は笑い出した。 僕たちも一緒に笑った。ふだんならばともかくも、いわゆる砲煙弾雨のあいだをくぐって、まかり間違えば砲弾のお見舞を受けないとも限らない現在....
田原坂合戦」より 著者:菊池寛
朝、両旅団の砲兵は、二俣、田原に近く進んで、砲撃を開始した。 此日は深い霧で、砲煙は霧に溶け込んで、砲声のみが、無気味に響いて居る。官軍が砲撃して居る頃、黙々....
田舎教師」より 著者:田山花袋
始めたのを喜んで読んだ。恋愛を書き、少女を描き、空想を生命とした作者が、あるいは砲煙のみなぎる野に、あるいは死屍の横たわれる塹壕に、あるいは機関砲のすさまじく鳴....
天災と国防」より 著者:寺田寅彦
る。 人類が進歩するに従って愛国心も大和魂もやはり進化すべきではないかと思う。砲煙弾雨の中に身命を賭して敵の陣営に突撃するのもたしかに貴い日本魂であるが、○国....
人造人間事件」より 著者:海野十三
は鳴りをしずめ、片隅に互いの身体をピッタリより添わせた。 「墨汁ヲ吹イタヨウニ、砲煙ガ波浪ノ上ヲ匐ッテ動キダシタ」 何にも動かぬ。 「重油ハプスプス燃エヒロガ....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
って落されたのだった。 雨は重く、風はいよいよ烈しく、空はますます低くたれた。砲煙爆煙は、まるで濃霧のように海面を蔽った。砲声はいよいよ盛んに、空中部隊はエン....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
た。彼は考えた。「ああ、父が死にかかって戦場に横たわっている時、彼テナルディエは砲煙弾雨の中に父を見いだし、肩に担《にな》って連れだしてくれた。しかも彼は父に何....
帝銀事件を論ず」より 著者:坂口安吾
争があって、いつ戦争が終ったか、身をもってそれをハッキリ知るものは、絶海の孤島で砲煙の下から生き残ったわずかな兵隊ででもなければ、知りうるはずはない。誰も自主的....
兵士と女優」より 著者:渡辺温
れに塹壕の中には柔かそうな草が生えているし、原っぱはまるで芝生のように平かだし、砲煙弾雨だって全く芝焼位しかないし、あたい兵隊が敵に鉄砲向けているところ、ちょっ....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
乱射乱撃、めちゃくちゃに射っても、はずれっこはないのである。 みるみる、松林は砲煙につつまれ、ライオン戦車隊は、火の雨の中に立ちすくんでしまった。 死んだと....
「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」より 著者:癋見鈍太郎
たが最後、全戦線が「能的の気魄」をもって充たされていると言っていいであろう。その砲煙弾雨の中を一意敵に向って散開し、躍進する千変万化の姿は、男性の姿態美の中でも....
イエスキリストの友誼」より 著者:新渡戸稲造
これは浅間《あさま》しいようだが実際である。しかしその男が軍人で、さる激戦の時、砲煙弾雨を犯して戦友を救わんがために紀念として与えられた疵であると知ったら如何《....
春心」より 著者:田中貢太郎
広巳の耳には砲弾の唸りがよみがえり、かたかたと鳴る機関銃の音がよみがえった。砲煙、銃火、連隊旗、剣、赤鬼のような敵兵。 (左の脇腹に擦過傷を一つ負うただけで....