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砲身
「砲身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
砲身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
》の前の広場へ出た。そこには戦利品の大砲が二門、松や笹の中に並んでいる。ちょいと
砲身に耳を当てて見たら、何だか息の通る音がした。大砲も欠伸《あくび》をするかも知....
「ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
の生死が気遣われた。彼は倒れた死傷者を一人一人見て歩いた。そしてやっとのことで、
砲身のすぐ横に血に染まって倒れている中尉を見出したのである。中尉は腹部に大きい砲....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
隊の挙げる煙も幾すじかかすかにたなびいていた。この手ぬかりを見た水兵たちの一人は
砲身の上へ跨るが早いか、身軽に砲口まで腹這って行き、両足で蓋を押しあけようとした....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
緊張するのである。 一本のひげがまた小さな糸瓜の胴中にからみついた。 大砲の
砲身を針金で捲くあの方法の力学を考えながら、どうなるかと思って毎日見ていた。 ....
「道標」より 著者:宮本百合子
ヴェト・カンパニアに反撃するためのポスターにも、効果的な諷刺を描いていた。長大な
砲身が、ぬっとソヴェト同盟の赤い地図に向ってのびている。黒光りする
砲身の先端に、....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
すがるように、俄かに進路をかえました。四千メートル、三千メートル……。×の四門の
砲身はキリキリキリと右へ動きました。 「あッ」 八門の砲口から、ピカリ赤黒い焔....
「東京要塞」より 著者:海野十三
据えられてあるではないか。それは主力戦艦の主砲よりはるかに長さは短いが、それでも
砲身の全長は五メートル近くもあった。砲の胴中は、基部において直径が一メートル半ぐ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ろ砕けざる魔境はない。では、それはどういう理由だろう。 ――探検とは、国という
砲身のはなつ弾丸なり。 この言葉を、彼は忘れていたわけではないけれど、いまロン....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
たのだ。そして、怖しいことには、五人の悪漢がその砲の周りで忙しく立ち働いていて、
砲身の被筒と言っている、航海中はそれに被せてあったあの丈夫な防水布の覆いを取除け....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ァルの発明した動星器を用いることだ。」
「十六世紀には、」とボシュエは言った、「
砲身内に旋条を施していた。」
「そうだ、」とコンブフェールは答えた、「そうすれば....
「火の扉」より 著者:岸田国士
出る。そこにもさま/″\な形をした鉄材が山のように積まれており、なかには明らかに
砲身と思われるものが赤さびたまゝ不気味に横たえられてあつた。 康子は夫のうしろ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
て備えられた大砲が、扶壁に残ってはいるけれど、ほとんど使用に堪えないまでに青黒く
砲身が錆びている。城壁に沿うて丈なす草が、人に苅られず生い茂り、乏しい紅白の草花....
「接吻」より 著者:神西清
恰好だった。砲の前車には燕麦の袋が積込まれて、それに防水布の覆いがかけてあるし、
砲身はというと、べた一面に茶沸かしだの、兵隊の背嚢だの小嚢だのが吊り下げられて、....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
命令が来ているのだ。 「艦長! 残念ですなァ。」 若い少尉や中尉たちは高角砲の
砲身をたたいて口惜しがった。 「畜生! 今に見ろよ。」 水兵たちも眼の色を変え....
「火夫」より 著者:カフカフランツ
うが祝砲が聞こえてきた。あまり遠くないところを通り過ぎていくこうした軍艦の一隻の
砲身が、その鋼鉄の被いの反射光で輝き、安全でなめらかだが水平とはいかない航行に愛....