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硬質
「硬質〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
硬質の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
ビーカーを振る手をちょっと停めたが、別に背後を振返りもせず、横に身体を動かすと、
硬質陶器でこしらえた立派な流し場へ、サッと液体を滾した。すると真白な烟が濛々と立....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
える方へ行った。松林の多い裏山つづきに樹木をあしらった昔の人の意匠がそこにある。
硬質な岩の間に躑躅、楓なぞを配置した苔蒸した築山がそこにある。どっしりとした古風....
「読書法」より 著者:戸坂潤
うに、ヒューマニズムに対立する文化意識は幾何学的精神であり、完成と厳粛と明確との
硬質を有つものである。之によらなければビザンチン芸術も理解出来ないばかりではなく....
「地図にない島」より 著者:蘭郁二郎
様は、一寸常識を通り越した見事さだ。そしてその向うに、夢のような美しい線をもった
硬質硝子製の研究室が続いていた――。 が、それにも増して驚いたのは、迎えに出て....
「金属人間」より 著者:海野十三
た生きかえってくる。生きかえられたんでは、また大さわぎになる」 博士は、大きな
硬質ガラス製のビーカーの中に、そのぐにゃりとしたうす桃色のものを入れた。それから....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
ばした。そのとき中尉は、硬いひやりとしたものを掌の中に感じた。見るとそれは鋼鉄と
硬質ゴムとでできた「火の玉」少尉の義手だったのである。 「戸川中尉どの。結果にお....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
窓硝子なんか何でもないじゃないか、どんどん入替えさせるがいい。しかし硝子は丈夫な
硬質硝子でないと、本艦が二十インチの主砲をどんと一発放った時は、ばらばらに粉砕し....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
その例だ。前者はヒューマニズムの人間中心主義という弱点を衝き、真実のもつ客観的な
硬質性の姿を超人間的な場所に求める。後者はヒューマニズムが(I・バビットの民主主....
「壁」より 著者:中井正一
的機能をもち、窓がそれに対して展望、採光、通風の機能をもっていたことは今やすでに
硬質ガラスの出現によってその函数表をあらためることを要求されはじめる。極限にまで....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
とえ乾くことがあっても、それに堪え忍ぶ性質をもっていると思う。つまりその地下茎が
硬質で緻密でよく水を抑留して長くその生命を保っているものとみえる。 元禄七年(....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
木木の葉にも、柔かい陽光が降り注ぎ、その緑蔭の中には葉洩れの光線を受けた、一枚の
硬質の葉の反射光が、むしろ白色に近い光を放っている。赤い、小さな竹トンボのような....