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硯
「硯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
硯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
み》つ異説のない訣《わけ》でもない。
まず田代玄甫《たしろげんぽ》の書いた「旅
硯《たびすずり》」の中の文によれば、伝吉は平四郎の髷《まげ》ぶしへ凧《たこ》をひ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
言うのだった。
「あれがお父さんの性分なのさ。何しろお父さんはあたしにさえ『この
硯《すずり》はどうだ?』などと言う人なんだからね。」
しかしそんなことも今にな....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
なんかのゆめ》を書き、そうして今は八犬伝を書いた。この上にある端渓《たんけい》の
硯《すずり》、蹲※《そんり》の文鎮《ぶんちん》、蟇《ひき》の形をした銅の水差し、....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
瓶《こどうへい》に、孔雀《くじゃく》の尾が何本も挿《さ》してある。その側にある筆
硯類《ひっけんるい》は、いずれも清楚《せいそ》と云うほかはない。と思うとまた人を....
「或る女」より 著者:有島武郎
るだけがばかな事だと思った。そしてもう一度そこの店から巻紙《まきがみ》を買って、
硯箱《すずりばこ》を借りて、男恥ずかしい筆跡で、出発前にもう一度乳母を訪れるつも....
「或る女」より 著者:有島武郎
えったようにはきはきなって、上等のシナ墨を眼《がん》の三つまではいったまんまるい
硯《すずり》にすりおろした。そして軽く麝香《じゃこう》の漂うなかで男の字のような....
「星座」より 著者:有島武郎
やがやと廊下に飛びだす子供らの跫音《あしおと》がうるさく聞こえだした。めいめいが
硯《すずり》を洗いに、ながしに集まるのだった。柿江は話の腰を折られて……
「先生....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
紫 五十二 お茶漬さらさら、大好な鰺の新切で御飯が済むと、
硯を一枚、房楊枝を持添えて、袴を取ったばかり、くびれるほど固く巻いた扱帯に手拭を....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
これはずっと後の話ですが、小川町の翁屋という薬種屋の主人で安川という人があって、
硯友社の紅葉さんなんかと友人で、
硯友社連中の文士芝居に、ドロドロの火薬係をやった....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
せらるる兆か、と床しい、と明が云って、直ぐにこの戸棚を、卓子擬いの机に使って、旅
硯も据えてある。椅子がわりに脚榻を置いて。…… 周囲が広いから、水差茶道具の類....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い。このあたりこそ、明治時代文芸発程の名地である。かつて文壇の梁山泊と称えられた
硯友社、その星座の各員が陣を構え、塞頭高らかに、我楽多文庫の旗を飜した、編輯所が....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の赤切符。さればお紺の婀娜も見ず、弥次郎兵衛が洒落もなき、初詣の思い出草。宿屋の
硯を仮寝の床に、路の記の端に書き入れて、一寸御見に入れたりしを、正綴にした今度の....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
ろいろあったが、出たものには山田美妙斎が編輯していた『都の花』があった。その他|
硯友社一派の『文庫』が出ていた。 劇評では六二連の富田砂燕という人がいた。この....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
った日本橋通りを歩きながら、屠竜と云う言葉を考えつづけた。それは又僕の持っている
硯の銘にも違いなかった。この
硯を僕に贈ったのは或若い事業家だった。彼はいろいろの....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
す。」 愛吉は神妙に割膝で畏り、算盤を弾いている。間を隔てた帳場格子の内に、掛
硯の上で帳面を読むのはお夏で、釣洋燈は持って来て台の上、店には半蔀を下してある。....