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「硯箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

硯箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
るだけがばかな事だと思った。そしてもう一度そこの店から巻紙《まきがみ》を買って、硯箱《すずりばこ》を借りて、男恥ずかしい筆跡で、出発前にもう一度乳母を訪れるつも....
或る女」より 著者:有島武郎
どん底に沈んで行った。 ややしばらくしてから葉子は決心するように、手近にあった硯箱《すずりばこ》と料紙《りょうし》とを引き寄せた。そして震える手先をしいて繰り....
星座」より 著者:有島武郎
紙を洋服の内衣嚢《うちかくし》に大事にしまいこんだ。机の上にはラムプとインキ壷と硯箱とのほかに何んにもなかった。そこで園はもう一度思い落しはないかと考えてみた。....
お菓子の大舞踏会」より 著者:海若藍平
」と書いて、裏には兄さん夫婦の名前が書いてありました。 五郎さんは夢中になって硯箱《すずりばこ》の抽出《ひきだし》から印《いん》を出して、郵便屋さんに押しても....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い経机を指さして教えた。机の上には折本の経本が二、三冊積まれて、その側には小さい硯箱が置いてあった。 「拝見いたします」 一応ことわって、半七は硯箱の蓋をあけ....
朱日記」より 著者:泉鏡花
碗やら、解かけた風呂敷包、混雑に職員のが散ばったが、その控えた前だけ整然として、硯箱を右手へ引附け、一冊覚書らしいのを熟と視めていたのが、抜上った額の広い、鼻の....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
で我慢するのほかは無い。したがって、筆や硯にも碌なものはない。それでも型ばかりの硯箱を違い棚に置いてある家はいいが、その都度に女中に頼んで硯箱を借りるような家も....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
それを目よりも上に高く捧げて持って来た。課長は彼女がその湯呑を、いつもと同じに、硯箱《すずりばこ》と未決《みけつ》既決《きけつ》の書類|函《ばこ》との中間に置き....
脳の中の麗人」より 著者:海野十三
ある。本箱には、ぎっしりと小説本が並んでおり、机のうえには杉材でこしらえた大きな硯箱がある。すべて見覚えのある品物だった。 彼は、懐しげに、一つ一つの品物をと....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
惑でも話が済まない――) 信仰に頒布する、当山、本尊のお札を捧げた三宝を傍に、硯箱を控えて、硯の朱の方に筆を染めつつ、お米は提灯に瞳を凝らして、眉を描くように....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いんだ。一冊|纏ったもののように、楽屋|中で祝ってやろう。筆を下さい。」――この硯箱を。」 「ちょいと、一度これを。」 と、お嬢さんは、硯箱を押させて、仲よし....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
の人達よりはなれて部屋へ戻ると、私は信二郎に頼まれた欠席届を書くことに気付いて、硯箱をあけました。墨をすりながら、私が小学校の頃父に呼びつけられて硯の墨すりをさ....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
微笑した。「ああそいつだよ。無表情がいい。……墨をお摩り、何か書こう」 蒔絵の硯箱が側にある。その横に短冊が置いてある。 乞食スラスラと認めた。 「読んでご....
あのころ」より 著者:上村松園
きしたりすることが好きで、店先のお客さんの話を聞きながら、帳場の机に坐りこんで、硯箱の筆をとり出しては、母のくれた半紙に絵ばかりかきつけていました。 いつ来て....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
で我慢するのほかはない。したがって、筆や硯にも碌なものはない。それでも型ばかりの硯箱を違い棚に置いてある家はいいが、その都度に女中に頼んで硯箱を借りるような家も....