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硼酸
「硼酸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
硼酸の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眼帯記」より 著者:北条民雄
て外へ出た。出がけに医者は白いガーゼと眼帯をくれた。私はその足ですぐ受付により、
硼酸水と罨法《あんぽう》鍋とを交付してもらって帰った。 私は生まれて初めての眼....
「芽生」より 著者:島崎藤村
トを握る気にも成れなかった。 お房の眼の上には、眸《ひとみ》が疲れると言って、
硼酸《ほうさん》に浸した白い布が覆《かぶ》せてあった。時々痙攣の起る度に、呼吸は....
「超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
その次は?」 「ナカナカ重役の仕込みがいいな貴様は……チャッカリしている。それは
硼酸軟膏と万創膏と脱脂綿だ。薬屋に持って行けばわかる。早く行け、この奥さんの鼻の....
「たずねびと」より 著者:太宰治
がふさがってしまって、そうして朝になっても眼がひらかず、私は医者からもらって来た
硼酸水でその眼を洗ってやって、それから眼薬をさして、それからしばらく経たなければ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
身がもたないでしょうね。緑郎のことはまだ未定ですけれども。 トラさんのことね、
硼酸《ほうさん》をうすくといたもので洗えるといいそうですが。それに水が硬水ならば....
「生と死との記録」より 著者:豊島与志雄
へ行ったのか。……私はじっと堯の顔を覗き込んだ。安らかな顔をして寝ていた。眼には
硼酸水に浸したガーゼが当ててあった。角膜に少し故障があるのであった。私はそのガー....
「上海」より 著者:横光利一
む臓物が、鍋の中で泡を上げながら煮えていた。客のない酒場の主婦は豆ランプの傍で、
硼酸に浸したガーゼで眼を洗いながら雨の音を聞いていた。参木は高重の来るまでここで....
「雪」より 著者:中谷宇吉郎
てゆく。その中に一陣の風が来ると急に雪の形が変って、今度は極めて細い個々の結晶が
硼酸《ほうさん》の結晶をまくように降って来る。何だか耳を澄ますと空でサラサラとい....
「粉雪」より 著者:中谷宇吉郎
そのうちに一陣の風が来ると急に雪の形が変わって、今度は極めて細かい個々の結晶が、
硼酸の結晶をまくように降って来る。何だか耳を澄ますと空でさらさらという音を立てて....