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碌に
「碌に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
碌にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「赤外線男」より 著者:海野十三
ことをやめ、深山研究室の中にベッドを一つ置き、学士と共に寝起きすることとなった。
碌に睡眠時間もとらないで、この組立に急いだ結果、四日という短い日数のうちに、新し....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
泣きだした。 「ぼ、僕はいま病気なんです。それで働けないのです。僕はもう三日も、
碌に食事をしないでいます。ますます身体は悪くなってきます。お願いですから、助けて....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ります、如何でございます、貴下、」 「先ずお茶を一ツ。御約束通り渋茶でござって、
碌にお茶台もありませんかわりには、がらんとして自然に片づいております。お寛ぎ下さ....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
醤主席は、かくも見事な重工業地帯を完成しても、その昔、英米から売りつけられた
碌に役にもたたない兵器に懲りた経験を思い出し、また重慶で、しばしば嘗めた不渡手形....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
は入道|名さえ持ちません。手前勝手、申訳のないお詫びに剃ったような坊主。念仏さえ
碌に真心からは唱えられんでございまして、御祈祷僧などと思われましては、第一、貴下....
「女客」より 著者:泉鏡花
私はこんなぞんざいだし、もう十七の年に、何にも知らないで児持になったんですもの。
碌に小袖一つ仕立って上げた事はなく、貴下が一生の大切だった、そのお米のなかった時....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
思召して下さいます、私は口が利けません、いいわけをするのさえ残念で堪りませんから
碌に返事もしないでおりますと、灯をつけるとって、植吉の女房はあたふた帰ってしまい....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
い興行でもはじまったような気がして、勇んで、そわそわして、早く行って見たくって、
碌に手拭も絞らないで、ふらんねるを引かけたなり、帽子も被らずに、下駄を突掛けて出....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
存じの汽車が、この裾を通るようになりましてからは、富山の薬売、城端のせり呉服も、
碌に越さなくなりまして、年一年、その寂れ方というものは、……それこそまた、猿ども....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ないぜ」 「そんな縁起の悪いことを。……それでも火事になったら大変ですね。保険は
碌についていないし、……」 僕等はそんなことを話し合ったりした。しかし僕の家は....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
は嘲るように、じろりと相手の顔を見ました。 「この頃は折角見て上げても、御礼さえ
碌にしない人が、多くなって来ましたからね」 「そりゃ勿論御礼をするよ」 亜米利....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ンを着て、マーキュリーの帽子のような、ふちのない丸い帽子をかぶり、手入れも調教も
碌にしてない暴れ小馬にまたがって、手綱もつけず、一本の綱であやつっていた。彼は学....
「橋の上」より 著者:犬田卯
遅く入学して、ようやく高等二年生になるはなったが、算術などは尋常程度のものでさえ
碌に出来なかった。 彼の得意とするところは、自分より弱いものを苛めることにあっ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
れてみん事には、その辛さは分らんぞね。」 「恐縮だよ。」 「それを、それを、まだ
碌に目もあかん藁の上から、……町の結構な畳の上から、百姓の土間へ転がされて……」....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
怒鳴りつけてやりたいとまで思いました。ですから自分は一人で書斎に入ったきり食事も
碌にせず、長椅子の上で二日も三日も夜を明したりしたほどでした。 『ほんとにあんな....