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確然
「確然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
確然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
恩給制度、退職手当に関する制度がほとんど行なわれていない。年功による昇給に関する
確然たる規定がない。賞与に関する規定がない。 規定がないということは、つまり実....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
く受けてふわりふわりとしていた。秋風の寒さが吹いて来たときこれでは堪らない。何か
確然としたものはないかしらと気がついた。君でも僕でもこの確乎したものは「尊きもの....
「穴」より 著者:黒島伝治
行く。両側の扉から憲兵が、素早く手を突き出して、掴まえるだろう。彼は、外界から、
確然と距てられたところへ連れこまれた。そこには、冷酷な牢獄の感じが、たゞよってい....
「敬語論」より 著者:坂口安吾
をアナタとよぶのが女卑の証拠だというのも、一概にそうも云えない。男言葉と女言葉の
確然たる日本で、男女二つの呼び方が違ってくるのは当然で、アナタとよぶことが嬉しい....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
分の魂を苦しめている。理由のない、良心の呵責に悩み疲れている。理由はない、まさに
確然と理由はない、それであるのに……。どうして、懲罰とか贖罪とかいう意識がさき走....
「月世界競争探検」より 著者:押川春浪
ともに、今迄張りつめた気も弛んで、再びそこに仆れようとする。 「叔父さん、どうぞ
確然して下さい。」 とブランデーを口に注ぐと、漸く又正気に復して、 「よし。もう....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
岩質には深い関係があると思う。つまり、鮎の育った川の石の質によって、味と香気とに
確然とした差が生まれてくるというのである。もとより筆者は、動物学者でも地質学者で....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
しかし、いくら長いといっても、限度はある。接吻よりももっとはげしい例の行為には、
確然とした終りがあるが、接吻には、これで終りという生理的なコースはない。しかし、....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
いつあるのですか。ちょっと教えて下さい。正月は何かかいて上げたいと思います。然し
確然と約束も出来かねます。まあ精々かく方にして置きましょう。 ○ 明....
「妖怪学」より 著者:井上円了
原因にして、いずれが結果なるやは論定し難しといえども、睡眠中血液の減少することは
確然たるがごとし。しかるに、ある内外の刺激または他の事情にて、脳中の一部分起動す....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
し、ついにかかる夢を結びしならん。その厨より起こるを夢みしとは、おそらくは夢中、
確然と厠とは見えまじ、木小屋か物置きのようなる所より起こりしと見しならん。また時....
「役者の顔」より 著者:木村荘八
も立ったかも知れませんが、俳優の地顔・舞台顔の混合にいたって、これには、どこ迄も
確然と区別ありたきものです。地顔の、高がいわゆる「イイオトコ」位のことで、そのま....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
云うものが実際居るんですかね。」 「さあ、居るとも云い、居ないとも云うが、俺にも
確然とは判らないね。」 「けれども、彌作は確に視たと云いますが……。どうも不思議....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
なわち父セシルに手紙を書いた。熟慮と絶妙の心配りをもって書いた。「この手紙は私の
確然たる義務の念から書かれるものでありまして、けっして一時の刺戟に促されたもので....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
知ることが出来たなら、続いて死の根本の意味を、私がここで述べたよりもっと精細に、
確然と了解されると思います。そこではじめて人間は安心して死に得ると信じます。 ....