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磨滅
「磨滅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
磨滅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「窮死」より 著者:国木田独歩
三人寝るのも同じことだ。」 「同じことは一つこった。それじゃア足を洗うんだ。この
磨滅下駄《ちびげた》を持って、そこの水道で洗って来な、」と弁公景気よく言って、土....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
》めて、私に戻す。私はまた擦り直す。その時逆にした灰吹の口に近く指に当るところに
磨滅した烙印《らくいん》で吐月峰と捺《お》してあるのがいつも眼についた。春の陽ざ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の一路を示唆する現象だ。凡ての懐疑と凡ての破壊との間にあって、この大きな力は嘗て
磨滅したことがない。かのフェニックスが火に焼かれても、再び若々しい存在に甦って、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も自然に摺れ損じて、江戸末期の頃には地蔵さまのお顔もはっきりとは拝めないくらいに
磨滅していました。林泉寺には門前|町もあって、ここらではちょっと繁昌の所でしたが....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の塚の前に出ました。生い茂った草のなかに大きい碑が倒れていましたが、その碑はもう
磨滅していて、なんと彫ってあるのか判りませんでした。ともかくも五、六十丈ほども深....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
どの楕円形の石を据えてあって、石の表には慈望遊謙墓、右に寛延○年と彫ってあるが、
磨滅しているので何年かよく読めない。墓のありかは本堂の横手で、大きい杉の古木をう....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
は、よそ行きも常も婚礼も朝から晩まで着通して、今なお着用しているがさすがに、縞が
磨滅して来た。惜しいものである。 終日、洋服で通すという不粋な事は私だって本当....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
が羨しいとさえ思った。あの頃の余裕のない生活の方がまだしも楽であった。私は自分を
磨滅させるようないそがしさがほしいと思った。いそがしさに自分の存在がなくなれば結....
「反省の文学源氏物語」より 著者:折口信夫
いたが、どうしても藤原氏の勢力に押され、そうした運動の無謀さが省みられ、凡情熱の
磨滅せられ出した宇多・醍醐の帝の時代を書こうと言う、漠とした予期があったのである....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
日本は良材が多いのですから、檜などよく使われましたが、その質が余り硬くないので、
磨滅する虞れがあります。宅にある根附の中に、笠の上に何か動物のいるのがありました....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
どの楕円形の石を据えてあって、石の表には慈望遊謙墓、右に寛延○年と彫ってあるが、
磨滅しているので何年か能く読めない。墓の在所は本堂の横手で、大きい杉の古木を背後....
「今日になるまで」より 著者:上村松園
を頂いた事を覚えています。その硯は永年使用していましたが、もう金文字入の賞の字も
磨滅して分らなくなってしまいました。 母はなかなか読書が好きでいつも貸本屋から....
「流刑地で」より 著者:カフカフランツ
っそうよくついていくことができるでしょう。また、図引きのなかの歯車の一つがひどく
磨滅しています。で、動き出すと、すごくぎいぎい鳴るのです。そうなると、言葉がほと....
「ある夜の星たちの話」より 著者:小川未明
。汽車や、線路は、鉄で造られてはいますが、その月日のたつうちにはいつかはしらず、
磨滅してしまうのです。みんな、あなたに征服されます。あなたをおそれないものはおそ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
造作に重り合って、真黒に苔がへばり付いている。それでいて個々の岩塊は少しも稜角が
磨滅していない。絶頂夫自身も危く聳立した巨大なる嶄巌である。この岩の脈は更に東へ....