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磯臭い
「磯臭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
磯臭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ま》ちその答を発見した。朝焼けの揺らめいた川波には坊主頭の死骸《しがい》が一人、
磯臭い水草や五味《ごみ》のからんだ乱杭《らんぐい》の間に漂っていた。――彼は未だ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
渦巻の中に我れから飛び込んだのを、君の芸術的欲求はどこかで悔やんでいた。その晩、
磯臭い空気のこもった部屋の中で、枕につきながら、陥穽にかかった獣のようないらだた....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
の上にとげとげと咲いていたあざみの花、皆、何年か前のなつかしい思い出である。私は
磯臭い蒲団にもぐり込むと、バスケットから、コロロホルムのびんを出して一二滴ハンカ....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
に、紅々と空に突きさしていたあざみの花、皆何年か前のなつかしい思い出だ。 私は
磯臭い蒲団にもぐり込むと、バスケットから、コロロホルムのびんを出して、一二滴ハン....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
い演出をしてくれたのだと思いました。この前は翌朝、戸をあけてフーッと深呼吸をし、
磯臭いものを感じさせたが、今度はお台場のことを言って雰囲気を出した。どちらもいい....
「妾宅」より 著者:永井荷風
し、再び丁寧に蓋をした後、やや暫くの間は口をも付けずに唯《ただ》恍惚として荒海の
磯臭い薫《かお》りをのみかいでいた。先生は海鼠腸《このわた》のこの匂といい色とい....
「放水路」より 著者:永井荷風
も水の流れを見ようとした時、風というよりも頬《ほほ》に触《ふ》れる空気の動揺と、
磯臭い匂と、また前方には一点の燈影《とうえい》も見えない事、それらによって、陸地....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
色もさすがに蒼んでいた。僕は昔は渡し船へ乗ると、――いや、時には橋を渡る時さえ、
磯臭い匂のしたことを思い出した。しかし今日の大川の水は何の匂も持っていない。若し....