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礼服
「礼服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
礼服の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「親子」より 著者:有島武郎
つからなかった。なげしにかかっている額といっては、黒住教の教主の遺訓の石版と、大
礼服を着ていかめしく構えた父の写真の引き延ばしとがあるばかりだった。そしてあたり....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
。――あたかもその日、繋がる縁者の葬式を見送って、その脚で廻ったそうで、時節柄の
礼服で宵から同じ着附けが、この時際立って、一人、舞台へ出たように目に留まった。麻....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
点は光度が薄かったので、肖像画の主人公の面影を見て取ることが出来た。金モールの大
礼服をつけた額の高い、鼻が俊敏に秀でている禿齢の紳士であった。フランス髭を両顎近....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
着くと、湧返ったその混雑さ。 羽織、袴、白襟、紋着、迎いの人数がずらりと並ぶ、
礼服を着た一揆を思え。 時に、継母の取った手段は、極めて平凡な、しかも最上常識....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
袴です――弁持も私も、銀行は同一取引の資産家だから、出掛けに、捨利で一着に及んだ
礼服を、返りがけに質屋の店さきで、腰を掛けながら引剥ぐと、江戸川べりの冬空に――....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
帝らしい口ぶりでこう言い足した。それからラザルスに近寄って、熱心に彼の顔や奇妙な
礼服などを調べてみた。彼は鋭い眼力を持っていたにも拘らず、ラザルスの変装に騙され....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
ると物売りもまた変って来て、隊長の鳥売りなぞといって、金モールをつけた怪しげな大
礼服を着て、一々|言立てをするのや、近年まであったカチカチ団子と言う小さい杵で臼....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の額が懸かっていたが、一枚はどっしりとした赭ら顔の四十ぐらいの男で、派手な緑色の
礼服の胸に勲章を一つ下げていた。他の一枚は美しい妙齢の婦人で、鉤鼻で、ひたいの髪....
「小夜啼鳥」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
にとりたてられたので、ひろ間のとびらのうしろにたつことをゆるされました。みんな大
礼服のはれすがたで、いっせいに、陛下がえしゃくなさった灰いろのことりに目をむけま....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
して、文部書記官に昇進する。それは好いが、新官制によって定めたとおり、父も遽に大
礼服というものを誂えて一着に及んだ。父には到底似合もせぬしろものである。御用商人....
「S夫人への手紙」より 著者:岸田国士
第一は、和服をある程度制限して用いること。すなわち、婦人は部屋着と特殊な外出着(
礼服を含む)に限りこれを保存し得ること、男子は、部屋着のみとすること。 第二は....
「瘤」より 著者:犬田卯
捲き上げる計画は次から次へと実施されはじめた。村社の修復、屋根がえ、学校長への大
礼服の寄贈(しかもこれは貧富に拘らず、校長氏が準訓以来教えた全部の卒業生各自への....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
納戸の葛籠を、かさかさとお開けなさるのに心着けて、(いや、羽織だけ、職人はこれが
礼服。)と仕事着の膝を軽くたたいて、羽織を着て、仕事場の神棚へ、拝をして、ただ一....
「審判」より 著者:カフカフランツ
でもはっきりとした。たいていは黒服を着ており、古びた、長い、だらりと垂れ下がった
礼服姿であった。この服装だけが確かにKを戸惑いさせたが、そのほかの点では、彼には....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
人容易に法王に接見することあたわず。当日入場のものは特別の許可を得るを要し、かつ
礼服を着用せざるべからず。しかして平日は法王深殿中に起居し、絶えて市中に出ずるこ....